東京のファッション・ウイークはポジティブに変化しています。私が初めて取材した2016年は「メルセデス・ベンツ・ファッション・ウィーク東京」という名称で、その後「アマゾン ファッション ウィーク東京」となり、19年に現在の「楽天 ファッション ウィーク東京」がスタートしました。さらにさかのぼると、デザイナーらによる組織「東京ファッション・デザイナー協議会(CFD)」が初開催した「東京コレクション」の前身イベントが1985年ですから、東京のファッション・ウイークの歴史は約40年にもおよびます。そのうち自分自身が携わった9年だけでも、冠スポンサーに加え、参加ブランド数や顔ぶれ、規模、報道姿勢も大きく変化しました。
規模は縮小するも価値は増す
今シーズンは会場にほとんど足を運ばず、遠隔で取材チームをバックアップする体制をとりました。その分、東コレを今まで以上に俯瞰して見られました。参加ブランド数は、9年前の3月が53だったのに対し、今シーズンはショーを開催したのが32と縮小傾向は否めません。「ハイク(HYKE)」の5年ぶりのショーや、「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」の花やしきをジャックしたエンターテインメントショー、楽天による支援プログラムで「ポール・スミス(PAUL SMITH)」が参加するなど、ベテランが沸かせたショーもあるものの、若手の見本市という印象が年々強くなっているのが事実です。ただ逆をいえば、若手発掘の場としての価値は増しているともいえます。今回は、東京都と日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催するファッションコンペ「東京ファッションアワード」第10回を受賞した、8ブランドの中堅・若手デザイナーがスケジュールに加わりました。中でも気になったのは「サトル ササキ(SATORU SASAKI)」の世界観で、実際にコレクションを見てみたくなりました。
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