
ミラノ発の高級ニットウエアブランド「アラヌイ(ALANUI)」の共同創業者であるカルロッタ・オッディ(Carlotta Oddi)=クリエイティブ・ディレクターとニコロ・オッディ(Nicolo Oddi)最高経営責任者(CEO)が、親会社である伊アパレル企業ニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP以下、NGG)から、同ブランドの過半数株式を買い戻したことが明らかになった。金額は非公開。
「アラヌイ」について
「アラヌイ」は、ファッションコンサルタントやモード誌のエディターとして活躍していたカルロッタと、弟のニコロが2015年にミラノで設立。世界を飛び回る中、着心地のいい服としてニットウエアに大きな可能性を感じたことから、“旅行の経験を記録するような服”をコンセプトとしている。16年3月にファーストコレクションを発表し、17年に初めてNGGの投資を受けた。今後は独立した企業となり、26年春夏コレクションからは、商品をミラノのショールームから取引先などに送るという。なお、カルロッタ=クリエイティブ・ディレクターとニコロCEOはいずれも続投する。
今後はアジア地域での事業拡大を目指す
同ブランドは売上高などの数字は開示していないが、ニコロCEOによれば、業績は本拠地であるイタリアのほか、ドイツ、英国、米国が好調だという。今後はこれらの市場における卸先を整理しつつ、アジア地域での事業拡大を目指す。なお、24年には日本でポップアップストアを開催している。また、いずれはブランドの世界観をより直接的に伝えられる直営店を運営するべく、まずはミラノに出店したいと述べた。
ニューガーズグループについて
NGGは、15年にミラノで設立。「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」「アンブッシュ(AMBUSH)」「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」などのブランドを擁するほか、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」をライセンス生産している。 19年8月、高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)がNGGを6億7500万ドル(約1005億円)で買収。しかし、ファーフェッチは23年12月15日に経営破綻に陥っていることが明らかになり、同18日に韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)によって買収された。
また、NGGは「リーボック(REEBOK)」を保有する米ブランドマネジメント会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)と22年3月に提携し、23年5月には同ブランドの欧州における販売代理店業務などを手掛けるNGG++部門を立ち上げた。しかし、新たな契約条件で合意に至らなかったことから、ABGは24年11月初旬に同契約を終了。同時期に、NGGは日本の民事再生法にあたるイタリア倒産法(Composizione Negoziata della Crisi、CNC)の適用を申請したと海外メディアが報じた。CNCは破産の手続きをするものではなく、NGGは同法の下で債務を整理しつつ事業を継続し、再建を目指すとしている。
なお、NGGは保有していたラグジュアリー・ストリートウエアブランド「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」を、25年2月に米ブランド管理会社ブルースター・アライアンス(BLUESTAR ALLIANCE)に売却。ブランドを設立したフランチェスコ・ラガッツィ(Francesco Ragazzi)=クリエイティブ・ディレクターは、これを機にブランドを離れている。