
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月24日号からの抜粋です。)
藪野:2025-26年秋冬のパリは、「ジバンシィ(GIVENCHY)」「トム フォード(TOM FORD)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」の新クリエイティブ・ディレクターによるデビューショーがハイライトでしたね。
村上:サラ・バートン(Sarah Burton)による「ジバンシィ」は、長らく忘れていたユベール・ド・ジバンシィのクリエイションに回帰したコレクションで、シンプルな中にエレガンスがあり、すごく良かったです。クチュールを再開したいLVMHの思惑が近々実現しそう。
藪野:サラのモノ作りへのこだわりが詰まっていて、本当にきれいで洗練されていました。
村上:「トム フォード」のハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)は、トム・フォードのような直接的で開放的なセックスアピールはありませんでしたが、魅惑的な官能性を感じました。「ドリス」のジュリアン・クロスナーは、衣装から洋服に至るまでの理解と愛の深さなど、ブランドで長く働いてきたがゆえのパッションの継承を発信していて見応えがありました。
メゾンコードを理解する“実力者”が活躍
藪野:最近の傾向を見ていると、バズを起こせる若いデザイナーを抜てきするのではなく、メゾンのコードや服をきちんと理解して、自分の視点を通して解釈できる“実力者”が選ばれていると感じます。「ジバンシィ」と「トム フォード」はまさにベテランの起用ですし、「ドリス」のジュリアンもドリスの精神を受け継いでいます。
村上:でも、「ジル サンダー(JIL SANDER)」のシモーネ・ベロッティや、「グッチ(GUCCI)」のデムナ(DEMNA)と、われわれの予想と違うデザイナー起用もあり、早くも次の時代が始まっているのかも。「ジル サンダー」にシモーネ就任のニュースが流れた直後の「マリーン セル」の会場は、その話題で持ち切りでした。
藪野:そうでしたね(苦笑)。本当に過渡期ですね。デムナが去る「バレンシアガ(BALENCIAGA)」、ジョナサン・アンダーソン(JONATHAN ANDERSON)が退任した「ロエベ(LOEWE)」、すでにキム・ジョーンズが去った「ディオール(DIOR)」メンズと「フェンディ(FENDI)」などディレクター不在のブランドは多く、まだまだニュースは続きそう。日本の深夜帯に出た場合は、ベルリンでタイムリーに拾えるように頑張ります!