アシックスが運営する「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」は3月25日、「ハイファッションとパフォーマンスの融合」をテーマにした新たなスニーカーシリーズ“アルティ アールエス シリーズ(ULTI RS SERIES)”を発表した。トレイルシューズをベースにした“ティグトレイル アールエス”、ランニングシューズをベースにした“ティグラン アールエス”、バスケットボールシューズをベースにした“ティグコート アールエス”の3モデルで構成。いずれも都市生活になじむデザイン性と機能性の両立をこれまでにないレベルで追求した点が特徴だ。第一弾として、“ティグトレイル アールエス”を3月28日に全国の店舗と公式オンラインで発売する。価格は2万9700円。ほか2モデルについては、今年秋以降発売予定で価格は未定。
25日に開かれた記者発表会でアシックスの庄田良二副社長執行役員オニツカタイガーカンパニー長は、「近年のお客さまのライフスタイルの変化を踏まえ、旅行やアウトドア、街歩きまでシームレスに履けるシューズが求められている。加えて、旅行や運動といったレジャー体験こそがラグジュアリーな価値を生むようになった。そうした体験価値を内包するプロダクト開発を“レジャースポーツ戦略”と名付け、新時代のスポーツシューズを開発しようと考えた」と背景を語り、創業100周年を見据えた新たな挑戦になると意気込んだ。
トップアスリートを支えるスポーツ工学研究所の技術を搭載
同シリーズでは、トップアスリートのためのシューズを開発してきた同社のスポーツ工学研究所の持つノウハウを最大限に活用した。異なる素材の組み合わせで、トレイル、ラン、バスケそれぞれのシーンに求められる機能性と履き心地を追求している。
例えば、“ティグトレイル アールエス”は、凹凸のある地面を走行しやすいような耐久性と安定性、コントロール性を高める工夫を凝らしている。ミッドソールには、軽量かつ反発性に優れた“フライトフォーム(FLYTEFOAM)”を採用。前足部分はこれを薄く配したことで、足裏で地面を捉える感覚を実現した。足の中央部分に配した硬い“トラスティック”と呼ばれるパーツは、足のねじれを防ぎ安定性の向上に貢献している。またアウトソール部分は、菱形状のラグを斜めに配置し、全方向にグリップ力を発揮できるよう設計した。かかと部分には、緩衝材“ゲル(GEL)”を搭載。3モデル全てに採用した“ゲル”は外に大きく飛び出した形が特徴で、衝撃緩衝性を高めると同時に、アイコニックな見た目もデザイン性として取り入れている。
アッパーは目の細かさが異なる2つのメッシュ素材を重ねた。それにより、砂などの異物がシューズに入るのを防ぎつつ、絶妙なシアー感があり、ファッション性を高めている。また、シューレースの締め付け具合を調整しやすいループ状のアイレットを採用。日常のシーンから運動時のスタイルの変化をスムースに行えるようにした。
カラーは、先行発売するホワイト、オイスターグレー、クラシックレッド、ブラックの4色のほか、ピンク、イエロー、ブラウンもそろえる。スポーツシューズでは多くない落ち着いた色味でそろえることで洗練された印象に仕上げた。ロゴは“オニツカタイガーストライプ”をベースに、主張を控えめにしつつ、躍動感のある表現でリデザインした。
グローバル全体の売上高は過去最高を記録
同様に“ティグラン アールエス”では、長時間のランニングに耐えられるよう耐久性と安定性を追求し、“ティグコート アールエス”では激しい動きに対応するフィット性と安定性の機能を取り込んでいる。
「オニツカタイガー」の2024年12月期のグローバル売上高は、前年比58.3%増の954億円で過去最高を記録した。日本地域では前期の約2.3倍の407億円だった。店舗数は14カ国で185店舗を展開し、グローバルで存在感を高めている。今年7月にはパリのシャンゼリゼ通りに新たな旗艦店をオープン予定だ。