仏百貨店のプランタン(PRINTEMPS)は3月21日、ニューヨークのウォール街に「プランタン ニューヨーク(PRINTEMPS NEW YORK)」をグランドオープンした。ニューヨーク証券取引所から目と鼻の先にあるウォールストリートとブロードウェイの角に建つ、元銀行として使用されていた歴史的なビルだ。同店は2層、総売場面積4万平方フィートで集積型のファッションフロアの他にビューティー、5つの飲食店を有する。
遊び心あふれた空間に
「ジャックムス」「ナイキ」を集積
ブロードウェイに面したメインエントランスを入ると、アパレル、バッグ、雑貨などが集積された「プレイルーム」のセクションとカフェがある。「ジャックムス(JACQUEMUS)」がブランドとしての限定的にコーナーを構えるが、その他はラック毎にブランド分けをされているか、色別にディスプレイされている。同じフロアにある「スニーカールーム」はタイトル通りスニーカー専用の売り場で、限定モデルやコラボレーションモデルの販売を行っていく。オープン時は全て「ナイキ(NIKE)」でディスプレイされていた。「プレイルーム」は雑貨や小物が豊富で、フィッティングルームは中で記念撮影をする人も多くおり、遊び心にあふれた演出がユニークだ。
一転、重厚なサロンのムードに
カジュアルな“プレイルーム”とは対照的に、1階はブロードウェイ側にある入り口から、または内部の2階と繋がる階段を使用しないとアクセスできない“レッドルーム”と“レッドルームバー”があり、ヒルドレース・メイエールによってデザインされたアールデコ調のインテリアがラグジュアリーな雰囲気を醸し出している。金色のモザイクタイルで飾られた天高の“レッドルーム”には、高さ4.5メートルの葉のモチーフがレースのように点在し、パーティでも映える繊細なデザインのシューズが集積されている。隣の「レッドルームバー」は、重厚な雰囲気の中でカクテルなどを味わえる。ブロードウェイの入り口からのみアクセスできるこの2つの空間は、ちょっとしたサロンのような雰囲気だ。「レッドルームバー」の隣には、ワインショップがオープン予定という。
2階には鳥籠のようにセクション分けされた「サロン」と呼ばれるセクションがあり、ウィメンズ、メンズのアパレル、バッグを集積する他、サングラスのコーナーも。奥に進むと、大きな花を思わせるガラスのシャンデリアが照らす「ギャルソニエール」があり、セレクトされたメンズウエアが並んでいる。1、2階ともにアパレルのセレクトはヨーロピアンブランドが中心で、今勢いのあるメジャーブランドとアップカミングなブランドが混在しているのも面白い。
ビューティゾーンを抜けると
ドレスの隠れ家的な売り場
キャンドルやビューティープロダクトが編集されたセクション「ビューティコリドー」もフランスを始め、ヨーロッパのブランドが多く、他の百貨店との差別化が感じられる。廊下のように細長い「ビューティコリドー」を抜けると隠れ家のようなメイクアップのセクションが現れ、シャンパンバーで寛げる空間が出現する。その奥は、「ブドワール」と呼ばれるビンテージやイブニングドレスの売り場だ。
百貨店としては2層と小規模だが、その中でカジュアルとラグジュアリーが空間を通して明確にすみ分けされている設計が見て取れる。セクション毎にインテリアがガラリと変わるため、限られたスペースでも変化が楽しめるし、ラグジュアリーなセクションはインテリアからもその贅を尽くした空間を表現する。飲食店が多くあるのも特徴的で、フランスの本場の美食に舌鼓を打ちながらのショッピング体験が楽しめる。