「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は3月30日(現地時間)まで、香港コンベンション・アンド・エキシビション・センターで開催の「アート・バーゼル・香港(Art Basel Hong Kong)」で、村上隆とのコラボレーションを記念した展示を行う。
「ルイ・ヴィトン」のトランクのようなメタリックなブースに入ると、パリの「ルイ・ヴィトン」財団のパーマネント・コレクションが所有する村上のキャラクター“ゾウチョウクン(Zoucho-Kun)”、“タモンクン(Tamon-Kun)”の大きな彫像と、“スーパーフラット ジェリーフィッシュ アイズ 1(Superflat Jellyfish Eyes 1)”が来場者を迎える。
彫像やテキスタイル、ビデオが表すのは、村上が2000年に提唱した、“ハイ”と“ロウ”、ファインアートと大衆芸術・商業美術、日本と西洋の美学の境界を曖昧にする“スーパーフラット理論”だ。
同展覧会は、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)が当時クリエイティブ・ディレクターを務めていた「ルイ・ヴィトン」03年春夏コレクションで発表された“モノグラム・マルチカラー”に始まる、村上と同ブランドのコラボアイテムも扱う。
03年に製作された33色のモノグラムが施された33個の“モノグラム マリリン トランク”や、08年発表の“モノグラモフラージュ”パターンのキャンバスと“キーポールバッグ”などを展示している。
「ルイ・ヴィトン」との“スーパーフラット”な試み
12月に米「WWD」のインタビューに応じた村上は、当時のアプローチは破壊的だと考えられていたと語っていた。「モノグラムそのものをキャンバスの上に描き、絵画として見せようとしていました。特に批判は受けませんでしたが、コラボをした恐らく1年後くらいから、オークションに出品した私の作品の価格が下がっていることに気が付きました。当時の現代アートの世界で、評判が良かったとは今でも思いません」と話した。
近年の村上にとって、「ルイ・ヴィトン」とのコラボはなくてはならない要素の1つだ。去年京都市京セラ美術館で開催した展覧会のため、村上は、「ルイ・ヴィトン」の“モノグラム マルチカラー トランク”を“お花の親子”像と一緒に展示することを提案していた。ピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)=「ルイ・ヴィトン」会長兼CEOは、即座に村上のアイデアに賛同したという。
村上はこれについて、「日本では、現代アートはマイナーですが、ファッションは皆が本当に本当に関心を寄せるものだからです。(『ルイ・ヴィトン』の展示)は、日本人の興味を惹くのに良いものだと思いました」と語っていた。