ブランドマネジメント会社マーキーブランズ(Marquee Brands、以下マーキー)が「ドッカーズ(DOCKERS)」の買収について、保有元のリーバイス(LEVI’S)と独占交渉を進めているという。両社からのコメントは得られていない。
リーバイスは、ミシェル・ガス(Michelle Gass)=最高経営責任者(CEO)のもと、自社の「リーバイス(LEVI’S)」ブランド、中でもウィメンズに、これまで以上に力を入れている。このため昨年10月にはメンズ中心の「ドッカーズ」事業の「戦略的代替案」を模索するため、米4大銀行の一つ、バンク・オブ・アメリカ(BANK OF AMERICA)と契約したと発表した。
「ドッカーズ」は当初から、マーキーのほか、WHPグローバル(WHP GLOBAL、以下WHP)、オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、以下ABG)のような大手ブランド管理会社が関心を持つと見られていた。中でもWHPとABGの両社は、昨年約3億1800万ドル(468億円)の売り上げを計上しつつも売上高の約5%しか担っていない「ドッカーズ」の事業に注目しているという。
このためマーキーの取り引きが成立しなかった場合、ABGなどが参入する可能性は高い。とは言え情報筋によれば、ABGは規模が大きくなるにつれ、ますますブランド選定に慎重になっているという。
「ドッカーズ」は世界的な知名度を誇り、販売する50カ国に多くの顧客を抱える。リーバイスは長年、同ブランドでさまざまなアプローチを試みてきたが、依然として自社に留めておくだけの十分な勢いがあるとは言いがたい。さらに、同社は現在、デニム以外の分野への事業の多角化を図っており、21年にヨガウエアブランド「ビヨンド ヨガ」を買収した。
マーキーは、「マーサ スチュワート(MARTHA STEWART)」「ベン シャーマン(BEN SHERMAN)」「ローラ アシュレイ(LAURA ASHLEY)」など18のブランドを所有。ブランドの知的財産の保持・発展を担いつつ、ライセンス契約を結んだパートナー企業に生産を委託している。
リーバイスとの契約がまとまりつつある中、マーキーは製造を担うパートナー企業を物色中。目下交渉中と言われるランダ・アパレル&アクセサリー(Randa Apparel & Accessories)はもともと、ジュエリーやアクセサリーの製造・販売を行っていた企業だが、13年にアパレルメーカーのハガー(Haggar)を手中に収め、衣料品も手がけるようになった。マーキーは、海外にも多くの生産パートナーを抱える。
リーバイスは4月7日に26年度第1四半期の決算を発表する予定。マーキーとの契約が間近に迫っているのであれば、発表するには自然なタイミングだ。