栗原たおデザイナーが手掛ける「タオ(TAO)」はこのほど、東京・南青山のコム デ ギャルソン社でランウエイショーを開催し、2025-26年秋冬コレクションを披露した。“ブラック&ゴールド”をテーマに構成した34ルックは、フリルやリボンで愛らしさをはらみながら、黒やゴールドの色使いで重厚かつ華やかなムードを演出した。
ペプラム、フリル、刺しゅうでデコラティブに
栗原デザイナーは自身のアイデンティティーを表す好きな色として白を挙げ、何度か同色を基調にしたコレクションを発表してきた。そんな彼女が今季ファーストルックに選んだのは、強さを表すオールブラックスタイルだ。エレガントなピアノのアルペッジョをBGMに、チンツ加工を施したレザー調のジャケットと、軽やかなティアードスカートをまとったモデルが、穏やかな波のようにうねるペプラムとフリルを揺らしながら登場する。
その後しばらく、筒状のジャンパースカートや丸襟ジャケット、バックリボンのベストなど、「タオ」らしいディテール満載のブラックアイテムを連続させながら、次第に装飾性や煌びやかさを増していく。中華風のフラワーモチーフを刺しゅうしたベストや、花柄をジャカード織りしたダブルブレストのジャケット、スカーフをリボン状に巻きつけたようなバルーンスカート、大きなリボンを連ねた真っ赤なアシンメトリースカートなどが好例だ。
「黒い世界に何かがキラキラ光るイメージが頭から離れなかった」と話す栗原デザイナーは、カラーパレットに大胆にゴールドを使用。金の箔プリントが美しいスタンドカラーのジャケットや、キルティングコート、ファーストルックと対をなすティアードスカートをランウエイに加えた。
機能美を追求
今季、栗原デザイナーがカラーパレットと同じくらい重要視したのが機能美だ。「人工的な工業素材を用いることで、硬派な『タオ』を見せたかった」という。上述した箔プリントは、シアーな不織布に重ねてアルミホイルのようなカサカサした質感を醸し出したものだし、ボリュームたっぷりのフリルスカートは厚めに裁断した不織布が和紙のように見える。
中でも、ヘアケアブランドの「ラブクロム(LOVECHROME)」とコラボレーションしたネックレスは機能性を「タオ」流に取り入れた象徴的なピースだ。「ラブクロム」に特有のメッキ加工を施す前と後の両方のコームをいくつも組み合わせて、チェーンでひとつなぎにした。「たまたま『ラブクロム』さんから協業の話をもらったのがきっかけ。コム デ ギャルソン社がビューティーブランドとモノ作りをするのは珍しいから、最初は提案を受けるか迷ったが、機能美の強さがかっこよかった」とコラボの経緯を話した。