企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」「図解アパレルゲームチェンジャー」の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回から毎年注目度が高い世界アパレル専門店売上高ランキングを2回に分けて解説する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月14日号からの抜粋です。)
毎年、世界アパレル専門店売上高ランキングを独自に算出しています。今回はその6位から10位について解説します。1位から5位については、次回のお楽しみです。
2024年度のトップ10は、下位に異変がありました。これまでトップ10にランクインしていた日本のしまむらは増収増益ながら為替(円安)の影響でランク外(12位)に。代わってアメリカのアーバン・アウトフィッターズ(URBAN OUTFITTERS)が「アンソロポロジー(ANTHOROPOLOGY)」と「フリーピープル(FREE PEOPLE)」の成長に支えられて9位に躍り出ました。
今回は、6位のルルレモン(LULULEMON)と7位のネクスト(NEXT)の注目ポイントを中心に話します。ルルレモンは売上高は前期比10%増、営業利益は同17.5%増で非常に好調です。営業利益率は23.7%とトップ10では最高です。本拠地で最大市場の北米市場では成長が鈍化しましたが、中国市場で同41%増と大きく伸びています。25年度はトップ5にランクインする勢いです。
中国には年に4回ほど出張していますが、その際に実施するマーケットリサーチでは、多くのローカルブランド、グローバルブランドの店内が閑散とする中、「ルルレモン」の店舗はいつも混んでいるのが印象的です。基本的に中国は今景気が悪いのですが、競合も少なく、手の届く価格帯なので、人気を博しているようです。Tモールなどの外部ECモールと実店舗を併用しながら拡大しており、25年1月時点で151店まで店舗を増やしました。中国市場の売上高シェアは13%まで上昇しています。日本を含む「その他」地域は同19%増ということで、北米以外の地域、グローバルでの売り上げに力を入れていくのでしょう。
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