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良品計画24年9月〜25年2月期、絶好調で通期予想を再上方修正 化粧水ヒットでリピーター増

「無印良品」を手がける良品計画の2024年9月〜25年2月期の業績は想定を上回る大幅な増収増益で、営業収益、各段階利益はいずれも過去最高となった。これに伴い、25年8月期の通期業績予想を1月に続いて再度上方修正した。「国内でスキンケアや日用消耗品を軸に客層が拡大した」と清水智社長。

2024年9月〜25年2月期の売上高に当たる営業収益は、国内外の店舗数の増加と堅調な売り上げによって、前年同期比19.4%増の3820億円、営業総利益率は生産体制内製化による原価低減や海外での値下げ率の改善、為替の影響により同1.2ポイント改善し51.1%となった。販管費率は売上伸長に伴う経費効率化により同0.7ポイント改善し、41.6%。営業利益は同49.8%増の361億円となり、営業利益率は9.5%に改善した。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の欧州事業再編に伴う税効果(20億円)も加わり、同61.6%増の254億円となった。

国内事業は営業収益が同22.2%増の2259億円、営業利益が同42.2%増の240億円。営業利益率は1.5ポイント改善し10.7%と大幅な増収増益だった。国内の既存店&EC売上高は同15.1%増。24年2月以降、毎月プラス基調を継続しており、坪当たり売上効率も改善している。客層の拡大も顕著だった。

24年9月〜25年2月期業績には入らないが、3月に開催した「無印良品週間」も大変好調で、過去最高の実績を記録したという。単なる値引きキャンペーンではなく、「新商品を試していただいたり、ファンの方々が集う機会」として「無印良品週間」を最大限に活用。「マーケティングやSNSの効果も発揮され、お客さまの近くに出店を重ねてきたことも相乗効果となって、非常に大きな盛り上がりになった」と説明する。

好調に特に寄与しているのが、スキンケアなどを扱う「ヘルス&ビューティ」カテゴリーと、日用消耗品などを扱う「ハウスウェア」カテゴリーなどの生活雑貨だ。商品力の強化を軸に、マーケティング施策、店舗や在庫管理のオペレーション力改善が進んだ。「ヘルス&ビューティ」は前年同期比で40%増、一昨年同期比で75%売り上げが伸びた。これにより売上高構成比が一昨年に比べて5ポイント上昇し 21%のシェアに高まった。「この商品群はお客さまに気に入っていただければ数カ月後にリピートしていただける。それが客数の増加に大きく寄与している」。

「ハウスウェア」カテゴリーも売上高構成比が一昨年同期に対し2ポイント上がって7%になり、売り上げも前年同期比で40%増、一昨年同期との比較では、「ヘルス&ビューティ」をしのぐ80%増と大きく伸びている。

海外事業は営業収益が前年同期比15.6%増の1560億円、営業利益は同34.5%増の283億円。営業利益率は18.1%で2.6ポイント上昇した。特に中国本土がけん引した東アジア事業は、営業収益が同15.1%増の1103億円、営業利益が同31.7%増の213億円と増収増益で着地。値引き抑制のほか為替効果による押し上げにより、営業総利益率が改善し、営業利益率は2.4ポイント改善の19.4%となった。

「大きな市場である中国本土は既存店の売り上げ好調が続いている。特に1月に発売したスキンケアの新商品が既存店売り上げを押し上げている」と清水社長。上期の営業収益は684億円(同19.3%増)で、既存店&EC売上高は6.0%増と計画を超過。特にEC販売が好調に推移し、店舗も売り上げ上位店に在庫を厚く配分したことで堅調に推移した。

中国本土は景気の減退などもあり、他社は苦戦が目立つ。「中国は大幅な市場の冷え込みが一巡したというところで、当社は数字が盛り上がってきた。数年かけて地道に現地化の商品を作り出してきたことに加え、日本からも商品を投入して品ぞろえが拡充した。また、人員が徐々にそろい、例えばマーケティングであればロイヤリティープログラムを昨年刷新したり、SNSやCRM(顧客管理システム)強化など地道な努力が奏功している」。

期末店舗数は1368店舗だった。国内は郊外を中心に33店舗を出店し651店舗。海外は45店舗を出店し、717店舗になった。中国本土ではスクラップアンドビルドを推進、東南アジアは、ベトナム、タイ、マレーシア等に出店を強化。都心部に大型店の出店を進めることで、認知度を高める。

25年8月期通期業績は、営業収益と各段階利益の通期見通しを1月の上方修正からさらに引き上げる。修正後の営業収益としては前期比16.4%増の7700億円(修正前は7540億円)、営業利益は同19.4%増の670億円(同640億円)を見込む。営業収益および各段階利益は、過去最高を更新する見通し。

同社は世界での成長に向けた8つの成長ドライバーを従前から掲げているが、その筆頭である出店の拡大については、国内では生活圏の600坪(約1980平方メートル)店舗の出店を継続する。「600坪の店舗フォーマットは完成した。今後は台湾、韓国、フィリピンに完全移植を開始する」。数年かけて改革を進めた衣料品カテゴリーも好調で、在庫も適正水準だ。「狙い通り、機能性のある天然素材のインナーウエアなど定番品が非常に好調だった。このまま継続していくのに加え、婦人服は成長余地がある。紳士服との差が少ない品ぞろえになってしまっているため、もう少しフェミニンなデザインや素材感のある商品を追加し、お客さまを増やしたい」としている。

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