パルグループホールディングスの2025年2月期連結決算は、売上高が前期比7.9%増の2078億円、営業利益が同27.1%増の236億円だった。売上高は4期連続、営業利益は3期連続で過去最高を塗り替えた。創業者の役員退任に伴う特別功労金31億円を特別損失として計上したため、純利益は同7.8%減の118億円だった。
事業別に見ると、売上高の約6割を占める衣料事業は1277億円(同6.7%増)。中でも百貨店や駅ビルで展開するタウン系のブランドが売上高をけん引した。「ビアズリー」「ウィム ガゼット」「コラージュ ガリャルダガランテ」「リヴドロワ」など40〜50代女性に支持されるブランドが好調だった。「いまSNSの影響をもろに受けているのが40代以上の女性。等身大のスタッフがインフルエンサーとしてSNSで情報発信することで、フォロワー数が急激に伸びている」と、中核会社パルの小路順一社長は話す。
雑貨事業の売上高は796億円(同9.8%増)で、「スリーコインズ」を中心に大きく伸長した。「スリーコインズ」は前年より78億円増えて709億円だった。5年前に比べて2.8倍の規模に拡大した。
EC売上高は531億9900万円(同9.9%増)。衣料事業のEC化率は41.6%に達し、堅調な拡大が続いている。ただ期初目標であった600億円には届かなかった。6月のサーバートラブルが影響し、在庫システムの停止で販売機会ロスが発生した。8~9月にかけて影響が残ったものの、第4四半期には回復に転じた。SNSフォロワー数は2月末時点で2000万人を突破。アプリ会員数も1145万人まで増加し、インフルエンサー活用やリアル店舗との連携施策が成果を上げている。40代以上のSNSが拡散される一方、ヤング層のSNSが以前ほど響かなくなり、主戦場が変化している点も注目される。
利益面では、雑貨事業の営業利益が前年比2.8倍の55億円超へと跳ね上がった。「スリーコインズ」では300円超の商品開発の強化と価値に見合った価格への改定が成果を上げ、粗利率の改善と営業利益率の向上につながった。店舗人員のシフト適正化による販管費の抑制も奏功した。
既存店売上高は、衣料事業で客数が減少したものの、客単価が大きく伸びた。気候変動の影響も顕著だった。「カレンダーのタームの見直しに取り組んでいるが、とくに11月の暖冬傾向、2月の異例の寒さが影響した」(同)。
期末店舗数は1078店舗で初めて1000店舗の大台を超えた。M&Aにより「ノーリーズ」「ダブルクローゼット」などのブランドが加わり、衣料事業で95店舗、雑貨事業で34店舗の純増となった。
2026年2月期は売上高2310億円、営業利益264億円を予想する。ECとM&Aによる売上高の押し上げに加え、販管費率の抑制によって営業利益、経常利益ともに2ケタ増を維持する計画だ。前期に計上した特別損失がなくなるため、純利益は前期比42.2%増の169億円を見込む。