LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の取締役会は、最高経営責任者(CEO)の年齢制限を現在の80歳から85歳に延長する議案を、4月17日開催の年次株主総会に提出する。
同社のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、1949年3月5日生まれの76歳。2022年5月の株主総会では、75歳と定められていたCEOの年齢制限を80歳まで延長する議案が、81.6%の賛成多数で承認されている。
後継者として有望な5人の子どもたち
アルノー会長兼CEOには5人の子どもがいる。長女のデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼CEO、長男のアントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMH ヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージ、次男のアレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)LVMH ワイン&スピリッツ部門副CEO、三男のフレデリック・アルノー(Frederic Arnault)=ロロ・ピアーナCEO、四男で末っ子のジャン・アルノー(Jean Arnault)=ルイ・ヴィトン ウォッチ部門 マーケティングおよびプロダクト・ディベロップメント・ディレクターといずれもグループ内の要職に就いており、有望な後継者候補だ。しかし、今回の議案を踏まえると、まだしばらくはアルノー会長兼CEOがグループを率いるものと推測される。
アルノー家による支配体制も盤石
近年、LVMHは一族支配を強化しており、ジャン以外の4人はLVMHの取締役会に所属しているほか、アントワンは一族による持株会社クリスチャン ディオールSE(CHRISTIAN DIOR SE)のCEO兼副会長を、フレデリックはやはり一族の主要な持株会社フィナンシエール・アガシュ(FINANCIERE AGACHE)のマネージング・ディレクターを兼任。クリスチャン ディオールSEはフィナンシエール・アガシュの傘下で、フィナンシエール・アガシュは22年12月の時点でクリスチャン ディオールSEの株式資本の97.5%を保有している。これらを通じ、アルノー家は25年3月の時点で、LVMHの株式資本の49.0%と議決権の64.8%を保有している。