J.フロント リテイリング(JFR)の2025年2月期連結業績は、売上高に相当する総額売上高が前期比10.1%増の1兆2683億円、営業利益が同35.2%増の581億円、純利益が同38.5%増の414億円だった。全項目で過去最高を更新した。同社が重点項目とする事業利益は534億円で、中期経営計画の最終年度27年2月期の目標520億円を前倒しで達成した。
大丸と松坂屋の百貨店事業は、インバウンド(訪日客)の購買が貢献した。免税売上高は24年2月期の721億円に対し、当期は1304億円に伸びた。また国内の富裕層による外商売上高は24年2月期が2016億円で、当期が2114億円と堅調だった。
大丸松坂屋百貨店の主要店舗の売上高は、松坂屋名古屋店が同3.8%増の1316億円、大丸心斎橋店が同20.4%増の1152億円、大丸神戸店が同7.1%増の984億円だった。松坂屋名古屋店は改装工事の期間が長かったものの、手堅い外商需要に支えられた。大丸心斎橋店は売上高に占める訪日客のシェアが43.3%に高まった。
14日の決算説明会に登壇した小野圭一社長は「大丸松坂屋やパルコでのラグジュアリーブランドなどへの投資が実を結んだ」と手応えを感じながらも、「経営努力以上に外的要因(円安や株高)が大きいのも事実」と話した。トランプ関税など不透明な先行きを見越し、「変革のスピードを緩めない」と強調した。
今期(26年2月期)は免税売上高を前期に比べて34億円少ない1270億円と予想する。連結業績予想は、総額売上高が前期比3.8%増の1兆3160億円、営業利益が同14.1%減の500億円、純利益が同27.6%減の300億円とした。減益は主に前期に計上した資産売却益の反動によるもの。