IT業界で始まった短期間でアプリ開発を競い合うイベント"ハッカソン"が、国内外のファッション業界にも広がっている。ハースト婦人画報社は9月6・7日、ファッション系アプリ「iQON(アイコン)」を展開するヴァシリーと組み、日本初のファッションハッカソン「ザ ファッション ハック」を開催した。東京・六本木のグーグルオフィスに集まった学生やプログラマー、ファッション系の学生など16チーム・42人が参加。わずか2日間で企画からプログラムを設計・開発までを行ない、2日目にはプレゼンテーションした。グランプリを獲得したのは学生チーム「ハッカソンモンスター」で、登録したキャラクターや風景から洋服を提案するアプリを開発した。同社のイヴ・ブゴン社長は「デジタルと融合すればファッションがさらに進化するという手応えを掴んだ。もっとパワーアップして来年も実施したい」とその場で継続を明言。予想以上の盛り上がりを見せた。
背景には、同社の親会社である米ハースト社や米コンデナストが2月のニューヨーク・コレクション期間中にNYで実施したファッションハッカソンイベントが大成功を収めたことがある。仕掛け人はコンデナスト社のハッカソンイベントのパートナーで、元ジャーナリストのリズ・パセラーが設立した企画会社デコーデッド・ファッションだ。同社は、NYで投資家やアプリ製作者とファッション業界を結びつけるいくつかのシンポジウムを経て、より直接的にデジタル業界とファッション業界を結びつけるため、昨年2月に初のファッションハッカソンを実施した。同イベントにはレイチャル・ロイらデザイナーや編集者、小売関係者を審査員に、アプリの開発者が参加し、アパレル会社とサプライヤーをつなぐアプリを開発したベンチャー企業がグランプリを獲得した。デコーデッド・ファッションはその成功を元に、今年5月と9月にはロンドンで、10月にはミラノでハッカソンを開催する。ファッション業界でハッカソンが盛り上がる背景を金山裕樹ヴァシリー社長は「ファッション業界はIT化が遅れていて、日進月歩で進化するデジタル技術を十分に取り入れられていない。逆に言えばITの力で、ファッションはもっと進化する余地がある」と指摘する。
【IT発ハッカソンが、国内外のファッション業界で続々開催 下】に続く