2013-14年秋冬ニューヨーク・コレクションが6日、開幕した。リンカーンセンターを主会場に、公式には9日間で約90のブランドがショーやプレゼンテーションを発表する。非公式も含めるとブランド数は150近くとなる。
初日の注目は、レディ・トゥ・ウエアを本格的に発表した「Jブランド」。ファーストリテイリング(FR)が昨年、約237億円で買収した米国西海岸発のブランドだ。レディ・トゥ・ウエアは3シーズン前から販売してきたが、潤沢な資金を得た今回はトップモデルを起用し、プレゼンテーション形式で発表した。得意のデニムは今回はわき役に。レザーとウールを多用し、テーラーリングのテクニックを生かして、ゆるさとセクシーさ、カジュアルとエレガンスを併せ持つ19ルックを披露した。
今のニューヨーク市場で最もホットなのは、“アフォータブル・ラグジュアリー(手の届くラグジュアリー)”や“コンテンポラリー”などと呼ばれる、低価格帯と高価格帯の間のゾーンだ。「ラグ&ボーン」「フィリップ・リム」「ティスケンス セオリー」「アレキサンダー・ワン」など、今話題のNYブランドの多くが同ゾーンで凌ぎを削っている。「Jブランド」の狙いもまさにそこ。シンプルだがひと癖ある、ミニマムだか甘さもある、カジュアルだがモードっぽい、絶妙なバランスがポイントで、女性たちの購買意欲をそそる“スラウチ”なスタイルを提案している。
武器であるパンツは、薄くて黒のカーフレザーのスキニーやメンズライクなテーラードパンツ、ストレッチの効いたボーイフレンドデニムなどを提案。特に薄くなめしたカーフレザーは重要な素材で、他にタックを入れたスラックスやウェストにゴムを入れたジョギングパンツ風などバリエーション豊富に揃えた。
トップスは、ダブルジャージのシンプルなカットソーや、ネイビー色の毛を短く刈ったムートンのバイカージャケット、部分的にカーフで切り替えたサテンのジャケットなど。バイカージャケットは“スラウチ”なスタイルを象徴するキーアイテムで、ピンクのオーバーサイズのライダースは前身頃が長くし、カーディガンのようにさらりと羽織る。少ない体数ながら、トレンドがぎっしり詰っている。