シカゴを拠点に活動する男性デザイナーデュオが手がける「クリエイチャーズ・オブ・ザ・ウィンド」は、2011年のCFDA賞でファイナリストにノミネートされるなど今注目のブランドだ。ユニフォームや紳士服などをベースにしながら、異素材や異なる色柄を複雑に組み合わせて、ファンタジックで少しダークな世界観を作り上げる。複雑に要素を絡めつつ、絶妙なバランス感覚とパターンの力で最終的にはすっきりと見せている点がポイントだ。今シーズンは1950年代〜1960年代に英国で流行った“テディガール”にインスパイアされたコレクションを発表した。
彼らのクリエイションを裏で支えているのが、日本人クリエイターや縫製工場の存在だ。NYで活動する大丸製作所2は、パターンや素材調達などの面から同ブランドの制作に深く関わっている。さらに今シーズンはショーの一部として、大丸製作所2が間に入り三陽商会とのコラボレーションで日本生産したコートとジャケット7型のカプセルコレクションを発表した。
カプセルコレクションは、三陽商会の看板「サンヨーコート」のアーカイブの中から、60年代のコートを選択し、「クリエイチャーズ・オブ・ザ・ウィンド」の感性で再現。1969年の三陽商会の広告ビジュアルからインスパイアされたという、タイをアクセントにしたフェミニンでスリムなコートや、パットで肩を強調したマスキュリンなジャカード織りのテーラードコートなど。一着の中にテンションの異なる複数の素材、例えばコットンとウール、レザーやビニールなどを組み合わせながらもすっきりと見えるのは、パターンと縫製の力によるところが大きい。
縫製は三陽商会の関連会社であるサンヨーソーイングが行なった。サンヨーソーイングは、2012年秋冬から同ブランドのショーサンプルと量産商品の縫製を手掛けており、若手ブランドが必ず局面する“クオリティを維持しながらの量産”という課題をクリアするための一助となっている。