「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のクリエイティブ・ディレクターに就任して2シーズン目を迎えたアレキサンダー・ワン自身のコレクションには、多くのメディアが集まり期待の高さをうかがわせていた。広い会場には、ジャングルジムのような白く巨大なオブジェが置かれ、ショーがスタートすると雷が落ちたような大きな音とともにオブジェが光り、モデルがランウェイを歩いていく。
ボクサーパンツやコットンのメンズシャツを使用したワンピース、ピンストライプのスーツ地のプリーツスカートなど、メンズやスポーツの要素を盛り込むクリエイションは、ワンがこれまで気に入り提案してきたそれだ。「バレンシアガ」での経験は、むしろ自分が好きなものをさらに追及する機会となったようだ。
「ALEXANDER WANG」のロゴのかたちにレーザーカットしたブラックレザーのトレンチコートやホワイトレザーのエプロンドレスは、ストリート・ファッションを感じさせる軽やかさだ。アレキサンダー・ワンが最初にロゴにはまったのが90年代のティーンエージャーの頃だという。「高校生の時にファッションに夢中になって雑誌を読みふけっていた」とワン。まだ30歳にもなっていない彼の現在の重責。そんなことはまったく関係なく、純粋にファッションが好きで楽しかった頃に想いをはせているかのようだ。カラーは、ワンの好きなブラックとホワイトをベースに、今シーズン多く見られるペールトーンのピンクとブルーをアクセントにエナメルの厚底ヒールや大きなボストンバッグに取り入れていた。
フィナーレでいつものように全速力で走り、笑顔で挨拶するワンは、まるで少年のようだ。
【アレキサンダー ワン 2014年春夏ニューヨークコレクション 全ルック】