フィナーレ近くまで色は黒一色。かと言って重く暗くなることなどなく、異なる素材を一着の中に入れることで、「ジル スチュアート」ファンが期待する可憐さや華やかさ、軽やかさを作り出している。ラメ糸を編み込んだブラックのニットや袖だけを透ける素材で切り替えたブラウス、肌が透けるカットワークの生地使いなど光や透け感の取り入れ方が軽さにつながっている。
中でもフェティッシュな“メイド”風フィット&フレアのドレスが目を引く。トップはバストラインを強調したり、エプロンディテールを取り入れて、ボトムは裾から大きく広がるフレアやボリューミーなギャザースカートでガーリーに。スカートの上にペプラムを加えて一層のボリューム感を出すことも。それとは対極的なハイウエストのベルベットやウールのスキニーパンツもキーアイテムのひとつだ。
後半は、ベビーピンクやオレンジ、赤など温かみのある色をプラス。ピンク色のストラカンのもこもこコートや太いストライプのドレスなどハッピーな色柄が女子の気持ちを盛り上げる。
BACKSTAGE
素材やパターンに変化を加え、重くなりがちな黒をジル風に可憐に仕立てた今シーズン。フェイスのテーマは、デューイー(雫が滴るようなみずみずしさ)&フレッシュ。肌を自然なツヤを感じる程度にファンデーションで軽く整え、ポイントはチークに。唯一色みをプラスした頬には、チーク替わりにベージュピンクのリップをポンポンとのせ、フレッシュな血色感をプラス。目もとはノーマスカラ、ノーライナー。わずかに下まぶたにブラウンのアイシャドウを入れ、全体のバランスを整えた。ヘアも、あくまでナチュラルだ。コンパクトにまとめたトップとは対照的に、サイドから毛先にかけては、ねじった毛束をコテで巻き、手ぐしで崩すラフなスタイル。フレッシュでピュアなイメージを出しつつ、ゴシックやヴィクトリア調といったクラシックな今シーズンのスタイルとバランスを取った。
BRAND:ジル スチュアート
MAKE-UP:ダイアン・ケンダル
HAIR:オディール・ギルバート