WWD Beauty(以下、WWD):「リム」が大切にしていることは?
カンタロウ:サロンにとって“人材”が一番大切で、いかに良い人材を育てるかが経営では重要だ。「リム」では、アシスタントからしっかりと育てる方針で、基本的にはスタイリストの中途採用は行なっていない。多店舗化しつついかにサロンの個性を維持するかが成功につながる。大阪、東京、シンガポール、ロンドンでヘアサロンとネイル&アイラッシュサロンを15店舗展開しているが、どの店にも大阪の「リム」で働いていたスタッフがいて、離れていてもサロンの個性を維持できている。
WWD:辞めるスタッフが少ないのも「リム」の特徴だと思うが?
カンタロウ:サロンが衰退する原因は売り上げの多いスタッフが辞めていくことが大きい。しっかりとスタッフを育てて、長く働ける環境を作れば、サロンは成長していけるはず。昔は、一人前になったら独立するという風潮が強く、残ったスタッフが苦労するのを見てきて、それには違和感があった。「リム」では独立支援制度もあり、完全独立ではなく、「リム」グループとしてやっていく仕組みを作っていて、現在は大阪の3店舗で実践している。スタッフの評価方法も35歳を超えるころには、サロンワークの売り上げだけで判断するのには限界がある。「リム」には「グローバル」「ニューバリュー」「NO. 1 」という3つのヴィジョンがあり、サロンワーク以外でもそのヴィジョンに合わせた貢献度や活動も評価対象にしている。
WWD:グローバル展開にも積極的だが?
カンタロウ:2014年11月に念願だったロンドンにも出店できた。目的の1つはブランディングの強化。日本で活躍しているサロンで海外に出店しているサロンは少ない。その先駆けになれればと考えている。最近では海外で働きたいと思う美容師も多く、人材確保が難しくなっている中でその可能性を提示することが、リクルートにもつながっていく。美容師の働き方や将来像が多様化していて、昔のような徒弟制度的な経営では、優秀な人材ほど辞めてしまう。オーナーなどの経営陣がそこにどれだけ理解を持って応援できるかが、今後のサロン経営では重要になってくる。