やはり「ドルチェ&ガッバーナ」のメンズは、ちょっぴり粗野な一面を覗かせたり、"朽ちつつある美学"を懐かしく振り返ってみたり、"素朴な美"を表現すると上手い。そんなコレクションだ。
毎回、ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナが描くのは、故郷シチリア島の貴族か庶民、祝祭のハレの日か普段通りのケの日か。今回は、しいて言えば庶民のケの日だろうか?故郷が古代ギリシャに支配されていた時と、だからこそ今なお残る遺跡に思いを馳せ、そんな叙情的な風景と、ギリシャ時代の英雄であるゼウスとアポロンの力強さの同居に挑戦。2つの異なる世界観を同時にプリントで盛り込んだり、叙情的なリラックスシルエットOR力強いボディコンシルエットを基軸にモチーフには相反する世界の柄を採用したりして2つの世界を融合している。
特筆すべきは、ゼウスやアポロンのような男性の体を素直に美しく描くボディコンシルエットの3ピースだ。すべてにストレッチコットンを採用することで着心地には配慮しつつも、体にピタリと吸いつくシルエットを追求。正直、今のトレンドとは一線を画しているが、このブランドらしい官能的なまでのセクシネスをアピールする。"素朴な美"と"現代的なセクシー"。叙情的な風景とギリシャの英雄のみならず、相反する2つの美学まで同居したようだ。