「メゾン マルタン マルジェラ」のオートクチュールに相当する手仕事のライン、アーティザナルは、アンサンブルがテーマ。普通なら共布で作るトップスとボトムス、それにインナーがアンサンブルだが、同じ素材なら色がドラスティックに違っていたり、クチュールならではの手の込んだアイテムにカジュアルなデニムを合わせたり、素材やモチーフの出所がバラバラのアイテムで1つのスタイルを作ったり、不和の要素を盛り込んでいる。
例えば序盤のアンサンブルは、バックボリュームのジャケットにシンプルなTシャツ、それに5ポケットのパンツを同じ素材で作っているが、色合わせがバラバラ。そもそもアンサンブルはラテックス、つまりゴムで作られていて、完璧なシルエットにも関わらず、強烈な違和感を発している。
これに続くのは、カボションカットを施した大理石のバストにスラウチなデニムのコンビネーション。そこにグローブと称する巨大な布を片手に被せ、「スワロフスキー」とコラボしたグローブホルダーを合わせる。
終盤は、1920年代から50年代を中心としたヴィンテージファブリックのようにモチーフを切り出し、チュールなどの上に張り付けて作ったフリフリのプロムドレスやローブ。ヴィンテージ素材で少女のプロムドレスを作り、年代の異なるモチーフを1つのスタイルに詰め込むという発想がすでに不和を生んでいる。とはいえ、それぞれは手の込んだコマーシャルなドレス。引き続き、ハリウッドセレブに着せる、しっかり売ることを念頭に置いたクリエイションだ。
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