「リック・オウエンス(RICK OWENS)」は、背が高くスリムなモデルはひとりも起用しなかった。代わりに登場したのは、全部で40人のダンス・パフォーマーたち。フツウの背丈でどちらかと言えばふくよかな女性が、高い階段を一段ずつステップを踏んで降りてくる。右手で左の心臓を打ち、眉間に皺を寄せ、まるで戦闘前に自らを鼓舞する部族の戦士のようだ。
黒、白、ベージュ、カーキ。4つの色の4グループのダンサーが着ているのは「リック・オウエンス」の2014年春夏コレクションだ。「リック・オウエンス」と言えば、ほっそりとしたシルエットが思い浮かぶが、彼女たちの体型はそうとは言い難い。しかも、パフォーマンスはとても激しく、腕や脚を高く振り上げ、身体を前後左右に揺らす。しかし、服はびくともしない。アシンメトリーなレザーのジップアップのブルゾンは脇下をジャージーで切り替えてあるため、見た目以上に動きやすそうだ。
"そう言えば"元々機能性もある服であったことを思い出させてくれる。身体に巻きつけるように着るニットも、同様にダンスをしても形が崩れない。
最後は、40人全員がつながり声をあげ、会場の雰囲気をひとつにした。パフォーマンスに目を奪われ服のディテールに目が行きにくいショーではあるが、「リック・オウエンス」はさまざまな体型の人が楽しめる、機能性も併せ持つ服であることが伝わってきた効果は大きい。
【リック・オウエンス 2014年春夏パリコレクション 全ルック】