得意のニットウエアに加え、布帛物ドレスの完成度を高めている「ヤストシ エズミ」は、ル・コルビュジェの建築物から影響を受けたコレクション。青白い光に包まれたランウェイに、ホワイトやマゼンダの色彩を採用したドレスが映える。シンプルなドレスへ被せるように重ねたアシンメトリーな生地使い、ミドルゲージのプルオーバーニットは構築的な仕上がり。アクセントには、固い質感のピッグスキンを使い、格子状のパンチング加工を施している。一方で、布帛のライダースジャケットやバイカラーのカーディガン、格子状のジャカードで制作したドレスなど、リアル感のあるアイテムも発表した。
デザイナーの江角泰俊は「ウィメンズのマーチャンダイジングを取り入れてデザインしている。男性的な目線だけでは、本来の着心地など、わからないことも多い」と語る。ル・コルビュジェの設計による"ロンシャン礼拝堂"や近代建築の五原則といった、有機的な建築にアプローチを求めたが、コレクション自体はモダンで着やすいものが増えている。マゼンダは、コルビュジェが好んで使った色であり、近代建築の合理性といったマインドは、チャンキーヒールの立体シューズなどで表現。建築という意味では、直線的なカッティング技術やカシュクール風のニットで曲線を巧みに取り入れた。難解なテーマをモダンに解釈した点では、デザイナーの成長を感じさせる内容。
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