テーマは、"ロックミュージシャンとその恋人"。代々木ヴィレッジの開放的な屋外広場やカフェを貸切り、道端に偶然セレブが表れたようなユニークな演出でショーを発表した。
特に1960〜70年代に影響を受けたというコレクションは、かつてのジョン・レノンとオノ・ヨーコやミック・ジャガーとその恋人マリアンヌ・フェイスフルらが着ていたファッションを連想させるアイテムやスタイルに、得意とするトラッドテイストを盛り込んだ。
ファーストルックでは、ヒョウ柄のジャカードコートにレザーのショートパンツのウィメンズモデルと、リネンパンツに紺ブレのメンズモデルがカップルで登場。その後に、ヒョウ柄のブルゾンにレザーのロングパンツのメンズモデルとヒョウ柄のワンピースを着たウィメンズモデルが続き、リネンやデニム、ジャカードなど、男女同じ素材を使った別のアイテムをカップルや前後連続して見せることで、クロスジェンダーではない男女のミックスを提案した。
さらに、"ロックを聴いて高揚する=飛ぶ(舞い上がる)"というイメージから、ニワトリのイラストをチェーンステッチで表現したニットトップスや車モチーフのプリントTシャツなど、ロックのイメージを派生させたアイテムも多く揃った。コレクションにはいつもよりも、ゆったりとした上質な空気感が漂う。その理由についてデザイナーの熊切秀典は、「春夏なので軽い素材が多いのもあるけれど、今季はリラックスしてデザインができた気がする。実はリネンだから座るとすぐシワになってしまうアイテムなどもあるけれど、それでもいいと思った(笑)。価格のことは後から考えることにして、好きなモノを作ろうと思ったのがそんな雰囲気につながった思う」とコメントした。