阪急うめだ本店は2月18日からの3週間、ファッションを軸に全館で取り組む大型イベント「阪急ファッションウィークス」を開催している。2月28日と3月1日には「スペシャル2デイズ」と題して、9階祝祭広場と婦人服フロアでファッションショーやゲストのトークショー、撮影会などを展開。春物の立ち上がりにコト提案のコンセプトを体現した大型イベントを仕掛けることで、端境期の集客と販売増につなげたい考えだ。
大掛かりな販促イベントを開いた理由について、阪急阪神百貨店の山口俊比古・執行役員は「これまではファッショントレンドをテーマに売り場演出やプロモーションを行ってきたが、業界起点の提案では消費者の心を掴めなくなってきている」と話す。特にファッションフロアの主要ターゲットである先物買いの顧客には、従来の手法は通用しない。そこで、テーマ設定をMDの要素からマインド要素へと変更。ファッションを軸に雑貨、食品、リビングまでカテゴリーを広げ、全館同一テーマで情報発信することにした。
今春のテーマは「プレイフル」。遊び心のあるデザインや大胆な配色の色柄、意外なモノ同士のコンビネーションなどを提案し、ファッション本来の楽しさを提案する。
「ここ数年、ベーシックで大人しめのトレンドが続いたが、大阪の顧客はそろそろ飽き始めている。もともと大阪人は新しもの好き。昨年秋頃から遊び心あるものやデコラティブなものが動き始めている」(橋本有子・婦人ファッション商品事業部マーケティング1部部長)という。
注目イベントは、ニューヨークをベースに活躍するドールアーティスト、アンドリュー・ヤンが作るファッションドールのチャリティ企画。1階コンコースのウィンドーや祝祭広場などに、最新ルックを身にまとった約75ブランドの手作りドールが登場し、通行客や来店客の目を引いていた。ドールはオークション形式で販売し、収益の一部を認定NPO法人「国境なき子どもたち」に寄付する。参加ブランドは「カルヴェン」「トリーバーチ」「ジャンポールノット」「アリス&オリビア」「ミュベール」「ケイタマルヤマ」「ビューティフルピープル」「シアタープロダクツ」など。
9階「ファッション遊園地」では「ケイタマルヤマ」や「プランピーナッツ」「シアタープロダクツ」など11の注目デザイナーブランドとのコラボによる一点もののスウェットが登場。希望者に抽選販売する。他には、刺繍デザイナーtamaoによるiPhone6用ケースなどアクセサリーや雑貨、スイーツも販売している。
1階イベントスペースでは、人気ファッションブロガー、タラムーンが運営するプログ「妄想百貨店」を再現。ガーリー革命家の視点でニューヨーク、東京で買い付けたこだわりの約20ブランドが並ぶ。ニューヨークで人気再燃中の「ノーマ・カマリ」が日本再上陸したほか、アフリカ系アメリカ人デザイナーが手がける話題のニューヨークブランド「ブサヨ」も日本初上陸。銀座に店を構えて10年間門外不出だったブランド「アナナス」や海外セレブに人気の「トゥエ・モン・トレゾァ」、スタッズ使いが特徴のバッグブランド「ディアベル」も予想以上の売れ行きだ。
春節需要とイベント効果により、2月の売上高は前年を上回る見込み。4階「うめはんジェンヌ」と3階「インターナショナルデザイナーズ」は2ケタ増と大幅に伸ばしている。