現金卸のエトワール海渡(東京、早川謹之助・社長)は、小売りの新業態「オティウム」を東京・表参道に3月18日開く。表参道の裏手に立地した路面店で、地上1階・地下1階の2フロアで売り場面積は50坪。都市生活者に向けたライフスタイル提案ショップと銘打って、オリジナルブランドの衣料品65%、仕入れ品が主力の服飾雑貨・生活雑貨35%をそろえる。3年後には直営店で5店舗、百貨店などへのショップインショップで10店舗の出店を目指す。
同社は昨年から小売り事業を本格化した。5月の鎌倉を皮切りに、成増、白金台、日本橋馬喰町にそれぞれ異なる店舗を出店した。現金卸の同社は、本社のある日本橋馬喰町に大規模な卸売り店を構え、主に個人経営の専門店を相手にした商売で発展してきた。だが、1990年代後半以降、これらの専門店はSPA(製造小売り)などの大手チェーン店に客を奪われ、さらには後継者不足にも直面。同社の業績も苦戦が続いている。小売り事業について早川社長は「自分たちでマーケットや消費者に近づく必要がある。小売りで経験を重ね、卸売りで求められる機能をフィードバックしていきたい」と話す。
「オティウム」は表参道店を軌道に乗せたのち、多店舗化する。4月には松坂屋上野店に期間限定店を開く。百貨店は大手アパレルによる婦人服ブランドの撤退が相次ぎ、特に地方では売り場作りが困難になっている。百貨店やショッピングセンターの売り場の環境に合わせて、衣料品だけでなく、服飾雑貨・生活雑貨を柔軟に編集した「オティウム」業態を売り込む考えだ。中心価格は婦人のジャケット2万8000円、ブラウス1万6000円。