映画監督のソフィア・コッポラの手掛ける初のオペラ作品「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」が5月24日、イタリア・ローマ歌劇場で初演を迎える。6月30日まで全15公演を行う予定だ。同作は、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ「ヴァレンティノ」創設者と彼のパートナーであるジャンカルロ・ジャンメッティ、そして、ローマ歌劇場のコラボレーションによるもの。ガラヴァーニが映画「マリー・アントワネット」を観て感銘を受けたことから、コッポラに監督としての参加を依頼し、実現した。コッポラは「私がこれまでやってきたこととは全く異なり、最初はどんなものになるのか予想もできなかった。『椿姫』の美しい音楽と衣装にフォーカスしつつ、主人公のヴィオレッタに親しみやつながりを感じられる部分を探し、私自身が観たいと思う作品に仕上げたわ」と話す。
メーンキャストの衣装は、「ヴァレンティノ」が担当する。ヴィオレッタの衣装はガラヴァーニ自身が手掛け、その友人役のフローラとコーラスの衣装は、現クリエイティブ・ディレクターのマリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリがデザイン。メゾンのアトリエで制作されている。また、映画「バットマン ビギンズ」や「ダークナイト」などを手掛けた英国人プロダクション・デザイナーのネイサン・クロウリーが舞台美術を担当。指揮はミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団のヤデル・ビニャミーニ=アソシエイト・コンダクターが務める。
今回の公演について、ガラヴァーニは「われわれはオペラがより身近になることを願っている。ロックコンサートを否定するつもりはないが、オペラはそれよりもロマンチックで、見た目にも美しいものだ。私は、子供の頃からずっとその音楽や歴史、パフォーマンスを愛している」と話す。また、キウリ=クリエイティブ・ディレクターは「ファッションと映画は、オペラに新たに若い観客をもたらすことができるはず。オートクチュール同様、近づきづらいと思うかもしれないけれど、観ればきっと好きになると思うわ」とコメント。ピッチョーリ=クリエイティブ・ディレクターも「映画、ファッション、オペラが一緒になることで、これまでと異なる視点を持った新しい何かを生み出すことができるだろう」と語っている。