スニーカーブームの火付け役となった「ニューバランス(NEW BALANCE)」が出店を本格化する。まずは都心に約1000平方メートルクラスの大型旗艦店を開き、その後も都内や5大都市を中心に3〜4年で10〜15店舗の路面店を出店する予定だ。
スニーカーの爆発的ヒットが追い風となり、日本法人ニューバランスジャパンの2016年12月期は9年連続の増収の見込み。しかし一時期のブームも落ち着きを見せ始めている今、新たにテニスやサッカーなどのカテゴリーを次々と立ち上げ、スニーカーだけに頼らないアスレチックブランドとしてのイメーシ?の構築を目指す。今後の出店計画は、その新たなブランドの世界観をショップで体現するためだという。ニューバランスジャパンの冨田智夫・社長は「3月にお台場に店を開いたが、それまでは東京の青山と大阪のミナミの2店舗だけだった。中国では約3000店、韓国では約400店あるので、(アジアの)主要国の中で日本はかなり遅れている。アスレチックのカテゴリーを増やした今のタイミングで、その新たな『ニューバランス』のイメージを体現できる規模の大型路面店を開く。その後は5大都市を中心に、それぞれの地方に合わせた路面店を出店していきたい」と話す。都心に開く予定の旗艦店では売り上げや利益を第一目的とせず、あくまでこれまで軸としてきたライフスタイルと、今後強化していくアスレチックを融合した世界観を表現し"、世界で一番"の店を目指す。
現在、世界のスポーツ市場では売上高3兆円台の米ナイキ、2兆円台の独アディダスの2強に続き、4000億円台の米アンダーアーマー、独プーマ、アシックスなどとのし烈な争いの中から米ニューバランスが一歩抜け出している状態だ。その世界3位の座を確固なものとするためには、現在グローバルでの売り上げが10%程度のアパレルの成長がカギだという。「スニーカーブームによって、ライフスタイル部門の売り上げが2、3年で爆発的に伸び、今まで弱かった10代後半から20代前半の女性も多く取り込めた。しかしあと半年もたてばその勢いもスローダウンしてくるだろう。これから会社として成長していくためには、別のエンジンに切り替えないといけない。まずはカテゴリー増加によってアスレチックの強化。そして出店計画によって小売りの強化。スニーカーがきっかけで新たに獲得した女性層に、スポーツブランドとして支持を得る。この3つのエンジンを成功させるために必要不可欠なのが、アパレルの成長だ」。
アパレル部門は、昨年末に独占販売契約を締結していた伊藤忠商事との契約が満了となり、今年1月からは米、英、日本にある自社のクリエーションセンターによる企画に切り替えた。「現在アパレルは、国内企画とグローバルが半々ぐらい。国内企画分は、あくまで日本のマーケットに向けた商品開発を行っている。良いものを作り続けていけば、将来的には日本の影響力が強いアジアのマーケットに売り出せる可能性もある。今後アパレルの売り上げが全体の30%程度まで伸びれば、わが社はさらに成長するはずだ」。