フューシャピンクやシュールレアリスムの祖と言われる、エルザ・スキャパレリが立ち上げたブランド「スキャパレリ」がクチュールブランドとしてファッション界にカムバックした。当面の発表は年に1回。毎年、1回限りのコラボパートナーとドレスを製作する。第一弾の相手には、同じくこれが本格的なファッション界、特にクチュールへのカムバックとなるクリスチャン・ラクロワだ。
コレクションは、シュールレアリスムの「スキャパレリ」と、ドラマティックなファンタジーのラクロワによる協業だが、意外と控えめでおとなしく、リアル。もちろん、巨大なロブスターやカメムシなど、「えっ!?それ、必要!??」と思ってしまうシュールレアリスムの要素は、散りばめているが、あくまでヘッドピースやブローチなどがメイン。洋服自体は、ハマーパンツにコンパクトなジャケットなど、シルエットの抑揚が効いたスタイル。フューシャピンクやファスナーなど、エルザへのオマージュも盛り込んでいる。
毎年別のクリエイターを迎えコラボレーションするという点では、「ヴェルサス ヴェルサーチ」と同じだ。しかし、「ヴェルサス ヴェルサーチ」はおそらく、時の人を迎え、時代の最先端を行くクリエイションを続けるだろう。一方の「スキャパレリ」は、何よりエルザの遺産であるシュールレアリスムの解釈がカギとなる。その意味では、マンネリズムを避けるためにも、毎回異なるアーティストに、いかようにも解釈できるシュールレアリスムを千差万別に噛み砕いてもらうのは面白い。ラクロワとのコラボは、まさにその、出発点。「スキャパレリ」にとって、基本の「き」の字となるようなコレクションだ。
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