どこか和装を想起させる花柄や特徴的な帯ベルトなど、今シーズンの「ソマルタ」は、19世紀末の美術運動“アール・ヌーヴォー”から着想を得ている。デザイナーの廣川玉枝がオーストリアに行き、そこでクリムトの本を見たときに「日本文化の影響が色濃く見えた。改めて、日本という国に新鮮な興味が湧いた」という。葉が剣状のカキツバタや繊細で優雅なリーフ・プリントがシルクのドレスに採用された。
テーマは「BLOOM」。控えめに咲くカキツバタを、生命力豊かな表現でドレスやトレンチコートに採用している。孔雀の羽根を思わせるパターンやスパングルをフロント部分に配したニット、刺繍でレースのように見せるディテールなど、細部の作り込みにも配慮。「ここまで日本的なものを取り入れたのは初めて。アール・ヌーヴォーから掘り下げて、結局は江戸時代の植物図鑑にたどり着いた」と廣川。イエローのチュールドレス、スリーブラインを膨らませたクラシカルなジャケットといった、19世紀当時を思わせるルックも特徴。花や植物を採用した有機的なモチーフが台頭したアール・ヌーヴォーを、廣川自身が解釈したアイテム群。西洋と東洋の融合を推し進めた「ソマルタ」。新境地を模索するコレクションに今後も注目したい。