ハイヒールでガラスを踏むような音が流れた後に、ショーはスタート。毎シーズン温度をテーマにコレクションを発表している「エーディグリーファーレンハイト」は今シーズン、ガラスの融点「1292°F(700℃)」に着想を得た。胸元にゆったりとドレープを施し、スカートはタイトに仕上げた光沢のあるアシンメトリーなドレスからスタートしたコレクションは、全ルック白一色で構成。シャツを腰に巻き付けたようなシルエットのスカートやポンチョ風の袖を施したテーラードジャケットなど、メンズライクなアイテムには、軽い素材や透け感、ドレープなどで動きを持たせフェミニンに。一方ニットのカットソーは、ゲージの変化で直線的な陰影を付けたり、ボディコンシャスなドレスは、ウエストや胸下に直線的なカットワークを施したり、カギ編みのレースを縫い付けたドレスは縦のパターンで構築されていたりなど、どこかシャープな要素を追加した。
「ガラスの固化状態の鋭さから、融点を越えて流動状態に変化するしなやかさ。透明度の美しさを表現した」と天津憂デザイナーが語るように、ガラスの2面性をパターンやディテールで表現。ランウェイ中央にはダイソンの扇風機を設置し、ロングドレスの裾やドレープがなびかせたユニークな演出も目を引いた。