「リトゥンアフターワーズ」流ファッションの創世記をコンセプトに、昨年10月から4話構成で発表している物語の最終章を発表した。第1弾ストーリー「動物たちの恩返し」から始まり、「裸のアダム」「浦島アダム太郎」へと続いたストーリー最終話のテーマは、「The Seven Gods(ザ セブン ゴッズ)」。アダムが18体の洋服を作って死に、神に召されるまでのストーリーを4部構成で発表した。
「人間の煩悩やファッションが持つ欲を表現した」と山縣良和デザイナーが語るとおり、第1部ではブルーシート素材のトップスや「ディオール」のショッパーや花火を頭にぶら下げたヘッドピースなど、インパクトの強いモノを提案。さらに、モノを入れることが出来ないフレームだけのバッグやヒールの上にクマのスリッパを重ねた履物など、コーディネイトやアイテム全てがちぐはぐでアンバランスな印象だ。どれも、ぬいぐるみやキャンディ、発砲スチロールなど無数のガラクタが施されていて、それは煩悩を表すモチーフとも、ただのゴミとも、受け手によって様々に解釈できる。モデル全員がランウェイに姿を見せ、コレクションが終了したかと思いきや、司祭や雪ん子、鶴の恩返しを連想させるようなコスチュームを着た人物が次々と登場。最後には、今回のテーマでもある7人の神々が、熊手で模った巨大な五光を背負って現れ、観客の度肝を抜いた。
ショーの表現や意図について山縣良和デザイナーは、「今1番興味を持っている仏教で、日本の根本的な宗教感を表現したかった。日本には簡素な美を愛でる文化がある一方で、なんでも混ぜ合わせるチャンポンな文化もある。神様の五光を熊手で作ったのは、幸福の象徴であり、なんでもかき混ぜる文化を表現したかったから」とコメント。さらに、2年ぶりの東京コレクションでの発表について、「このコレクションピース全てを作るのは精神的にかなりきつく、寿命の縮む作業(笑)。半年ごとの発表は体力的にも難しく、今後の発表の方法は未定」と続けた。