2012年毎日ファッション大賞新人賞を受賞し、ますます注目を集めている「タロウ ホリウチ」。デザイナーの堀内太郎は、アントワープ王立芸術学院を主席で卒業。ラフ・シモンズの下で経験を積み、09年自身のブランドを立ち上げた実力派の若手だ。
今シーズンは、毎日ファッション大賞の授賞式で初のファッションショーを開催した。冒頭は、黒で描くクラシックなテーラーリングスタイル。徐々に、黄、緑、青、シルバーなどまぶしいくらい鮮やかなカラーパレットで描くミニマルスポーティなスタイルへと変化。ラストは、透け感を楽しむレースを用いたドレッシーなコーディネイトで締めくくり、フレッシュで小気味よいコレクションを披露した。
インスピレーション源は写真家ライアン・マッギンリーが裸の若者を映した作品“Highway, 2007”。「文明社会にいる若者たちがまぶしい光を見て自然に帰っていくようなイメージです」と堀内。また彼の一番好きな本であるカミュの「異邦人」の中の「太陽がまぶしすぎたから」という言葉から、光が心理的なものを変化させるということを考えたという。
「光」が差す様は、鮮やかなカラーパレットだけでなく、ジッパーのディテールでも表現。たとえば、コートのサイドに走らせたジッパーの中から、まぶしい色がチラリと見える。ジッパーを多用するだけでなく、ショートパンツのサイドに切り込みを入れるなどで表現した。
価格は、コットンシャツが1万8000円〜、ジョーゼットのワンピースが2万6000円、高密度織物のコートが6万2000円、総レースのパンツが2万8000円など。アフォーダブルな価格も魅力だ。彼が一貫して見せるミニマルで透明感溢れるエレガントなスタイルは、東京にはほかにはないポジション。今後の活躍に期待が高まる。