今シーズンの「フェンディ」は、会場の壁一面を濃淡の異なるグレーをブロッキング。ランウェイはライトグレーに染め、その先には大きな扉を用意した。シートに置かれたプレスリリースの冒頭には「オンラインのヴィジュアルコミュニケーションに用いられるような、ファニーな表現を使うことが大好き。だってとても今っぽいから!」というメッセージがある。
扉が開くと、轟音とともに滝のように水が流れていて、それはオンライン上に氾濫する情報を想起させる。ファーストルックは、濃淡の異なるオレンジに染めたオーガンジーをレイヤードしたドレス。不自然に切り込みが入っているが、よく見ると"フォルダ"の形状をしているようにも見える。その後もブルーやネイビー、グレーのグラデーションで染めたオーガンジーを幾重にも重ねるスタイルが続く。情報の精度によって色や形が変わっているかのような錯覚に陥ってくる。続いて大きさの異なるグラフィカルな柄をレイヤード。さらに、異なるレザーをブロッキングしたスタイルや、同素材をあえてつなぎ合わせた構築的なドレスなどが続く。ドレスやスカートに透明のスパンコールをあしらったスカートやドレスをレイヤードしたスタイルもある。
カール・ラガーフェルドは、オンラインのヴィジュアルコミュニケーションを、トリッキーなグラフィカルな柄、パステルカラーやシャーベットカラー、そして軽やかなオーガンジーの重なりで表現。そこにメゾンコードのファーを編み込んだり、刈り込んだり。一見してもわからない、ハイテク新素材と高度な職人技を多用し、オプティミスティックなムード全開のコレクションを披露した。
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