ランウェイの両脇には、緑豊かな大木が2本。床や客席は、目に眩しいヴィヴィッドな黄色で塗られている。スピーカーからはラッパー、ドレイクが歌う「ヴェルサーチ」の曲が繰り返し、大音量で流れてくる。
レディー・ガガらミュージシャンとの親交を深めている「ヴェルサーチ(VERSACE)」の2014年春夏コレクションは、ストリート感覚とクチュールテクニックを巧みに融合している。デニムやラフィアといった素材を多用することでカジュアルにまとめているが、近くで見ればそこにはクチュールメゾンならではの凄技が注ぎ込まれていることがわかる。
冒頭は、ロカビリーガールを思わせるボリューミーなサーキュラースカートのデニム・オン・デニム。敢えてひっかき傷を作ったダークブルーのデニム生地を、取り外し可能なホックでつないで形作っている。ラフィアもキー素材で、ブルーやグリーンのグリッターカラーやトロピカルな花柄に染めてボディコンシャスなドレスに仕立てる。こちらもジッパーは使わず、小さくて大量のホックでつないでいるため、遠目にはスタッズを打ちこんでいるようにも見える。
ドレスは、極太のシルバーチェーンとメデューサの飾りで、ボディコンシャスなシルエットを作っており、こちらもロックなイメージ。背中に「I AM A FAN」というメッセージとTOKYOを含む10都市の名前を描いた「ヴェルサーチ」流ツアーTシャツは、肩周りをメタルのシートで切り替えてありゴージャスだ。
色は服もバッグもパステルカラーがポイントで、水色の柔らかいレザーのライダースジャケットには、アクセル・ローズからヒントを得たのか、大きなローズ柄を型押してある。ともすれば重く見えがちな職人技による装飾をあくまで軽く、カジュアルに見せるアイデアの連続は見ごたえ十分だ。
【ヴェルサーチ 2014年春夏ミラノコレクション 全ルック】