「ドリス ヴァン ノッテン(Dries Van Noten)」は今季、コンクリートをベースにした無機質な空間を会場に選んだ。ランウェイの片側に金色に輝く巨大な屏風を設置し、もう片方に設けられた客席から観客はショーを見るという"劇場"スタイルを採用。そこに英ロックバンド「レディオヘッド(Radiohead)」のベーシスト、コリン・グリーンウッドが登場し、今回のために制作した楽曲を奏でる中、ショーはスタートした。
ファーストルックは、ゴールドのラッフルをサイドや後ろ裾にあしらったエクリュのドレス。「ラッフルなど伝統的にフェミニンと見られる要素の可能性を探求したかった」とドリス・ヴァン・ノッテンが語るように、ラッフルは部分的な装飾としてだけでなく、重ねて大きな花を作ったり、つなげてスカートに仕立てたりとさまざま方法で用いられ、今季のコレクションの核となった。ウエアからアクセサリーまで多く見られたフリンジや刺繍などフォークロア調のディテールは、どこか懐かしさを残しつつも、エレガントに仕上げられている。カラーパレットは、オフホワイトや黒、深みのある赤など。フェイクレザーのアイテムや装飾、ヘアメイクで差し込んだキーカラーのゴールドが光る。
また、6月に発表されたメンズに続き、ウィメンズでも、来年2月からエキシビションを開催するパリ装飾美術館のアーカイブをアレンジした生地を使用。黒やグレー地にさまざまな花を施したドレスやトップスなどを提案し、花柄を用いながらも甘くなりすぎない女性像を描いた。
今回のショーでは、ランウェイを歩き終わったモデル全員が屏風の前で整列。フィナーレで、50人のモデルが煌びやかな屏風の前に一列に並ぶ光景は、実にドラマティック。そこにヴァン・ノッテンが登場した瞬間、会場は大きな拍手に包まれた。
【ドリス ヴァン ノッテン 2014年春夏パリコレクション 全ルック】