「ケンゾー(KENZO)」が今回、コレクションの発表の場に選んだのは、昨年オープンしたばかりのパリ郊外にある映画関連複合施設「ラ・シテ・ドゥ・シネマ」。巨大スタジオや映画監督のリュック・ベッソンが設立した映画学校「レコール・ド・ラ・シテ」などが入る建物だ。「ケンゾー」のショーではお馴染みのコーヒーワゴンのあるエントランスを抜けると、果てしなく長いホールが。そこにランウェイを作り、中央には、水を張った皿のような装置を並べた。けたたましいドラム音が鳴り、皿の上の水は、音に共鳴して水しぶきを上げる。ランウェイの奥では、天井から滝のように水が降り注ぐ。そんな今季のテーマ「海」に合わせた大がかり演出で、ショーはスタートした。
ベースとなったのは、ジャケットとパンツのセットアップやノースリーブベストといったテーラードアイテム、オーバーサイズシルエットのアウター、光沢感と透け感のある素材で作ったドレスやボトムスなど。波を模したアブストラクトなアートプリントはさまざまなアイテムにのせて提案したほか、クロップドトップとスカートのヘムラインや柄の切り替えは波のような曲線で描いた。また、"虎"、"目"に続き、打ち出したニューアイコンは"魚"。アップリケや刺繍などでジャケットやドレスに落とし込んだ。
さらに、今回は、海洋生物の濫獲(らんかく)や水質汚染防止のための活動を行なっているチャリティ「ブルー・マリン・ファウンデーション」とのパートナーシップ締結を発表。手書き風のプリントを施したスウェットとTシャツを1月に発売し、収益の一部を同チャリティに寄付する。