背景に日本庭園が見える会場でショーを発表した「ソマルタ(SOMARTA)」。セミの鳴き声や寺院の鐘の音、和太鼓などのBGMが流れ、ショーがスタートする前から純和風な雰囲気が漂う。着物や茶道の要素を、ふんだんに盛り込んだコレクションを発表した。
前半は、落ち感のあるトリアセテートのカシュクールガウンを、バリエーション豊富に提案。それを帯締めなどに使用する真田紐でウエストマークしたり、着物の肌着を連想させるレイヤードをスカートの下からのぞかせたりすることで、和装とドレスの中間のようなアイテムに仕上げた。後半は、日本庭園をグラフィック化したような幾何学模様のニットトップスや、帯のようなベルトをつけたチェスターコートなど、日本的な要素は残しつつ、よりリアルに着られるアイテムが登場。
ユリやスミレなどの植物で構成した、日本風ボタニカルプリントのシルクドレスなども並ぶ。今季は、得意とする装飾的な植物の表現はひかえめに、洋服と同色の刺繍や水墨画のようなモノクロのプリントなど、引き算でコレクションを構成した印象だ。デザイナーの廣川玉枝は、「京都の寺院や日本庭園、美術を巡る旅で、日本の美意識や物作りのすばらしさを深く実感した。同時に、そのすばらしい日本文化が、古典のまま過去のモノとして取り残されている印象を受けた。着物や和装を、現代のライフスタイルにフィットする形に進化させたい」とコメントした。
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