まるで、白いキャンバスへ書き殴ったような、力強いマーブル柄や凹凸感のあるダイヤ柄を採用した。さらに、インクを無造作に垂らしたような特徴的なパターンは、粘土質の高い顔料を使用し、「絵の具をぶちまけたようなイメージ。アート作品ではなく、自分たちの新しい方向性をファッションで示したかった」とデザイナーの八木奈央は語る。人工的な光沢を放つテキスタイルやキャンバスを模した四角い生地を、折って畳んで、立体的に仕上げている。これまで、平面的な印刷や版画を想起させるパターンを提案してきたが、今回は"絵画的"なアプローチでコレクションを構成。表現方法は難しいが、「凹凸感のある生地は今までにない質感で、ドロっとした感じを出している。あえて異質なテキスタイルを使って服を作り込んだ」とデザイナーの勝井北斗。
テーマは"VERTIGO"。生地の凹凸感は、プリントもあればジャカード織りもある。ユニークなところでは、スウェットの上にウレタンをコーティングしたトップスもあった。ここまで書くと、服ではなく、プロダクトのようにも感じるが、あくまでもファッションとしてこれらのディテールを取り込んでいる。ラメを織り込んだ肉厚素材の格子柄スカートや透けるボーダー柄ドレスなど、そのほかにも興味を引く素材使いが満載。ここ数シーズン、大人向けとも言えるダークな「ミントデザインズ」を見せてきたが、絵画と言う実験的なコレクションを発表し、新たな方向性を模索している。