ファッション

表参道の「トレーディング ミュージアム コムデギャルソン」に「ワンラインドローイング」のバッグが並ぶワケ

 表参道の商業施設「ジャイル(GYRE)」内にあるコムデギャルソンの直営店「トレーディング ミュージアム コムデギャルソン(TRADING MUSEUM COMME des GARCONS)」に、深川詔平デザイナーが手掛ける「ワンラインドローイング(ONELINEDRAWING)」のバッグ3型が提案されている。同店舗は、コムデギャルソン社が販売するブランドに加え、川久保玲「コムデギャルソン」デザイナーがディレクションを行ない、世界各国から気鋭の商品を買い付けながら、まるで美術館のようにアイテムを並べている。ちなみに「ワンラインドローイング」が陳列してあるスペースは、"インスタレーション オブ ユージング ワンラインドローイング アートワークス バイ コムデギャルソン"とし、バッグが売れていく"消費行為"そのものをインスタレーションとして見せている。

 深川デザイナーは有力ブランドで企画やパタンナーを経験した後、独立した。2013年春夏シーズンにデビューし、ウィメンズウエアやバッグ、ジュエリー、プロダクトといったアイテムを打ち出している。深川は「川久保デザイナーの目に留めてもらい、とても感慨深い」と語っている。既存の衣服表現にとどまらず、独自の美観を表現するため、素材やディテールを駆使してファッションを発信するのが「ワンラインドローイング」のコンセプトだ。デビューシーズンには、10通りに着こなすことができる変形ベストや、スカラップ状にカットしたレザーを取り付けたバッグなどを発表。国内産地と共同で取り組み、伝統的な技術を採用している点も特徴だ。

 今回の試みは、東京だけではなく、パリにある「トレーディング ミュージアム コムデギャルソン」とニューヨークのコムデギャルソン直営店にも商品を置いている。新人デザイナーの商品を買い付け、世界3店舗に同時展開するのは異例ともいえる。また、川久保デザイナーによる"力強いクリエイションを提案するデザイナーを引き上げよう"とする意図も見えてくる。肝心の消費者はどう受け留めるのか。既に同ブランドのバッグは売れ始めており、今後の動きに注目したい。

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