ファッション

世界で日本でしか作れない素材、ミラノの素材展で日本素材の注目高まる

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 ミラノで開催中のファッション素材見本市「ミラノ・ウニカ」で、日本素材の注目が高まっている。日本企業を34社集積した特設エリア「ジャパン・オブザーバトリー」には初日、シルヴィア・アルビーニ=ミラノ・ウニカ会長やピエール・ルイジ=ロロ・ピアーナCEOが応援に駆けつけ、「イタリアと日本にはクリエイティビティとクオリティに優れるという共通点がある。互いに切磋琢磨していきたい」とルイジCEOは語った。川嶋朗JFWテキスタイル事業事務局長は、「前回の昨年9月展は、『ミラノ・ウニカ』に日本企業が出展すること自体が初めてだったこともあり、大きな話題になって予想を上回る人出だった。今回は来場者数はやや減っているものの、トップレベルの日本企業がワンストップで見られると来場者のテンションは高い」という。

150206_mu_002 注目を集めたのは、世界オンリーワンのアイテム。齋栄織物は、1平方メートルで重さがわずか3グラムしかない“世界で最も軽いシルク”が注目を集めた。同社の福島県伊達郡の工場は、従業員わずか17人と小規模だが、製織だけでなく、撚り機や整経と呼ばれる準備工程まで行う機能を持っている。「三眠蚕(さんみんさん)と呼ばれる極細のシルクの糸を、撚りや織る際の糸のテンションなどを独自に調整して、やっと完成した。海外の素材展には5年前から出展している。単に軽い工芸品ではなく、工業製品としてのクオリティの高さが評価されている」という。年商2億円弱のうち、すでに3割が海外向けの輸出になっている。

                                      

 一方、素材と同様に注目なのが日本ならではのビジネスモデルだ。シーズンごとに売れ筋が大きく変わるウィメンズの服地の場合、ファッションブランドから発注を受けてからテキスタイルメーカーが生産に入る受注生産が、世界的には一般的だが、服地卸大手のスタイレムは「僕らはトレンドを先読みして、テキスタイルを受注する前にあらかじめ生産し、注文にすぐ応えられるビジネスモデルであるため、海外でも受注から発送までのリードタイムを縮められる。日本との海外の商品の嗜(し)好の違いにもチューニングできるようになってきた」と手応えを語る。

 同様のビジネスモデルで、約3万点というアイテムの幅広さが武器の宇仁繊維も、「ちょうどいま日本ではアパレル向けに出荷していて、日本では少し流行りだしたアイテムは海外でも好評。この数年で、そういった方程式が見えてきた」という。2016年春夏向けで好評だったのはダブルラッセルなどの立体的に見える3Dメッシュニットだった。
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