ファッション

バロックが香港靴ブランド「スタッカート」を日本でスタート

 バロックジャパンリミテッドは今秋、主要株主である中国の靴製造小売大手、ベル・インターナショナルとの共同事業として、ベルが香港で手掛ける靴のSPAブランド「スタッカート(STACCATO)」の日本での販売をスタートする。8月末には1号店をルミネエスト新宿に出店することが決定しており、まずは100店舗で数百億円規模の売り上げを目指す。

 

 ベルの2014年2月期の売上高は6891億円(前期比110.1%)で、7割が靴事業だ。その主力ブランドが1998年にスタートした「スタッカート」で、中国本土と香港、オーストラリアなどに直営店及び百貨店などでのインショップ、1116店を構える(5月31日現在)。売上高は350億円規模とみられる。エレガントなパンプスやバレエシューズ、スタッズ付きやカラフルなプリントのスニーカーなどを揃えており、イタリアと香港にデザインチームを持ち、中国の自社工場を中心に、一部イタリアで生産を行なっている。

 

 日本での「スタッカート」の事業展開においては、バロックの企画&MDチームが加わり、メード・イン・ジャパンのモノ作りの体制に切り替える予定だ。デビューとなる2014-15年秋冬は、ベーシックなデザインを中心に本国商品からのセレクトと日本用にカスタマイズした商品を販売。15年春夏からは、本格的に日本企画の商品を加え、国内生産を強化する。価格帯は1万5000〜2万円。機能性や履き心地を重視し、日本人に合う色や形を追求する。毎シーズン靴をイノベーションし、進化する強い商品を開発し、「コストパフォーマンスの高い靴を作っていきたい」とバロックの村井博之・社長。ベルは、ハイエンドに位置付ける「スタッカート」からマス向けまで、幅広いブランドを展開しており、中国ナンバーワン、そして世界最大のフットウエアメーカーであり、インフラやノウハウも豊富だ。

 

 「靴を作ることを得意としてきたベルに対し、バロックはこれまでも頭の先からつま先までのオシャレを追求してきており、トータルコーディネートを考えた商品を作れるという強みがある。ブランディング力やコンテンツ開発力もいかんなく発揮したい。異なる強みを持つ2社が手を組むことで、靴事業の新しいプラットフォームが生まれると期待している」と意気込む。さらに、「本格的なメード・イン・ジャパンの製造・小売り体制を整えたい。日本の匠と呼ばれる靴職人にも加わってもらい、トレンドと履き心地や品質を両立させた価値の高い靴を提供していく」といい、日本で自社工場を所有することも視野に入れているようだ。

 

 靴事業が利益を上げるために最も重要な在庫コントロールについても、「ベルにノウハウがある。中国では本部の大型倉庫に加え、1000近いサブ倉庫があり、コンビニエンスストアの納品並みに3〜4時間ごとに配送したりもしている。このサプライチェーンのビジネスモデルは驚異的であり、我々の力になる。在庫の持ち方や、補給方法、かつての我々の強みでもあったアナログでの機動的な店舗間移動なども含めて、在庫問題を解決したい」と話す。

 

 今後の出店については、「我々は都心型の坪効率重視型のビジネスをしてきて、そこが一番得意でもある。『スタッカート』もファッションビルと駅ビル、一部百貨店を含めて、25 〜40坪(82 〜132 �u)前後で出店したい。路面店も物件次第で検討していきたい」という。ルミネエスト新宿店に続き、今秋冬に銀座と名古屋に出店予定。来春夏以降、全国の主要都市に広げていく。「まずは100店舗を最初の目標値にする。その時点で、婦人靴で国内ナンバーワンになれるのではないか」と村井社長。eコマースは現時点では予定はないが、将来的には導入し新しい靴の売り方も模索する。

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