ファーストリテイリング(FR)の柳井正・代表取締役会長兼社長は10月7日、FRグループのグローバルクリエイティブ統括として、世界的広告会社・ワイデン+ケネディの共同経営者として知られるジョン・C・ジェイを起用することを発表した。柳井社長は「世界を代表するクリエイターが我々の会社に入社して、トップ経営陣として、グループの全ブランド・全世界のクリエイションを統括する」と説明した。
柳井社長にとってジョン・ジェイは、ワイデン+ケネディの日本支社長を務めていた1999年から、クリエイティブ・パートナーとして、「ユニクロは、あらゆる人が良いカジュアルを着られるようにする新しい日本の企業です」というミッションや、フリースブームのきっかけとなるテレビCM、さらには、FRグループとして「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」という経営理念を策定するなど、同社のクリエイティブの基盤を作った盟友でもある。ワイデンとの契約終了後も相談相手として頻繁に連絡を取り合うなど、交流を続けてきた。柳井社長は「いろいろなところでアドバイスを受けてきた。『ユニクロ(UNIQLO)』『ジーユー(GU)』『セオリー(THEORY)』『ヘルムート ラング(HELMUT LANG)』『コントワー・デ・コトニエ(COMPTOIR DES COTONNIERS)』『Jブランド(J BRAND)』など、欧米アジアに広がるFRグループのプラットフォームを生かし、ジョン・ジェイとともにグローバル化を進めていく」と話す。
ジョン・ジェイは「夢がありビジョンがある柳井さんと仕事をすることは、長年望んできたこと。情報量が爆発的に増える中で、今こそ革命の時だ。テクノロジー、建築、デジタルなど複数の分野に専門性を持ったクリエイティブな人材を育て、ビジョンを具現化していきたい。『ユニクロ』、そしてFRには大きなチャンスがある」と話す。
現在、GX社長兼エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターで、ワイデン+ケネディのパートナー(共同経営者)兼トラスティーを務めるジョン・ジェイは、米オハイオ州コロンバス生まれ。州立大学でビジュアルコミュニケーションを学んだ後、雑誌のアートディレクターを経て、88年からニューヨークの百貨店ブルーミングデールズのマーケティング・ディレクターに就任し、広告宣伝を手掛ける。93年にオレゴン州ポートランドを拠点とするクリエイティブ・エージェンシーのワイデン+ケネディのクリエイティブ・ディレクターとして、「ナイキ」など数々のグローバルブランドを手掛ける。98年に東京支社を立ち上げ、2004年までエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを兼務。個人ではスタジオJを運営し、ポートランド発の人気デザインホテル「エースホテル」やレストランもプロデュースしている。