ジャカルタ・ファッション・ウイークが1日、インドネシアの首都ジャカルタで開幕した。ラグジュアリーブランドが多く入るモール、プラザ・スナヤンの隣に建てたテントで4日までに75ブランドがショーを発表する。
イスラム教徒が多いインドネシアでは最近、伝統的なイスラム・ファッションを着る若い女性が増えており、会場にも髪を覆うヒジャブを身につけた女性が多く見られる。今年6月に政府関係者が「2020年までにインドネシアを世界のイスラム・ファッションのハブにする」と発言したこともあり、その勢いは増している。初日には、イスラム系4ブランドが合同ショーを行った。登場したのは、カラフルだったり、シンプルだったり、豪奢だったりと、一口にイスラム系と言っても髪をスカーフで覆っていること以外は異なるバリエーション豊かなデザイン。全世界の人口の1/4を占めると言われる巨大なイスラム市場に向けてメッセージを打ち出した。日本でもショーを行ったことがある「ヌール・ザーラ(NUR ZAHRA)」(写真)のウィンドリ・ウィデスタ・デーリ=デザイナーは、「イスラム・ファッションを世界に出してゆきたいし、同時にイスラム教徒でない人でも着たいと思える服をデザインした」と話している。
また、ジャカルタ・ファッション・ウイークは政府から支援を受け、2011年から英国の国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシルに依頼し、若手育成支援のためのプロジェクトを協業でスタート。30の若手ブランドを選出し、3年間をかけてデザインとビジネス面の指導を行ってきた。1ターム目を終了する今季は、その集大成でもあり、多くの若手デザイナーが印象に残るショーを発表した。
7年前に現在のファッション・ウイークを立ち上げたのは大手出版社フェミナ・グループだ。同グループのソヴィダ・アリシャバナ最高経営責任者(CEO)は、「この3年で大きな成果を得ることができた。我々が作っているのはデザイナー育成のためのプラットフォーム。デザイナーは職人でいたり、服作りのノウハウだけを知っているようではダメ。技を生かす感性を磨き、ビジネスを知ることでステップアップすることができる。それがインドネシアのファッション産業の発展につながる」と話している。
また、2日には日本の「ソマルタ(SOMARTA)」「モトナリオノ(MOTONARI ONO)」ならびに坂口英明による新ブランド「マヌカンズ ジャポン(MANNEQUINS JAPON)」がショーを行う。これは、日本ファッション・ウィーク推進機構が、経済産業省中小企業庁創業・新事業促進課のプロジェクトの一環として受託したもので、今回で2回目となる。