サカイが本格的に海外出店を開始する。来年1月下旬に香港・セントラル地区のオンラン・ストリート、4月には中国・北京の三里屯エリアにそれぞれ路面店を開ける。同社が海外に路面店を開くのは初めて。香港店、北京店ともに香港をベースに中国でもセレクトショップを展開するジョイスと提携する。また来年中に、新世界グループをパートナーに、韓国・ソウルにも路面店をオープンする。場所はセレクトショップのディエチ コルソコ モをはじめとするさまざまなラグジュアリー・ブランドがショップを構えるチョンダムドン地区。韓国では今年9月に、海外初のショップ・イン・ショップをソウルの新世界百貨店江南店にオープンしている。
同社が海外出店を本格化する背景には、海外の卸の売り上げと青山の旗艦店の売り上げの好調がある。海外の売上高はこの数年続けて前年比120〜130%の成長を達成した。青山の旗艦店に関して、島田昌彦イーストランド社長は「特に今年に入ってからアジアからのお客さまが増え、毎月予算をクリアし、売り上げが好調。(海外市場から)リアルに求められていると感じた」と話す。イーストランドは「サカイ」のメンズ&ウィメンズ、「サカイ ラック」のセールスを手掛けている。島田社長は同社を立ち上げた11年前から「サカイ」のセールスを手掛け、今は国内外の出店政策も行っている。
アジアだけでなく、欧米でのショップ・イン・ショップやコーナー展開も増やしている。英国・ロンドンの百貨店セルフリッジでは今年3月から半年間、約80平方メートルのポップ・アップ・ストアを開け、9月からはコーナー展開を開始。フランス・パリの百貨店ボンマルシェでは8月30日〜10月18日まで開催された日本にフォーカスした催事「ル・ジャポン・リヴ・ゴーシュ」展のメインゲストとして、大きくフィーチャーされ、その後、コーナー展開をスタートしている。米国では来秋をメドに、ニューヨークのバーグドルフグッドマンでもコーナーを持つ予定だ。今年10月には、ニューヨークにオフィスを開設。北米を中心とした海外ビジネスの拡大を図る。
サカイは現在、34カ国に160アカウント、約200店舗の卸先を持つ。売上高の割合は、アジア、北米、ヨーロッパが3割ずつ、中近東とロシアで計1割程度。特筆すべきは、日本では売り上げの半分程度であるコレクションラインの「サカイ」の売り上げが海外では圧倒的に高い点だ。その理由は、「並びのブランドが軒並みラグジュアリー・ブランドであり、デザイン性を求めるお客さまが多いから。特にアジアでは、新しいものを探している方が多くエネルギッシュ。ファッションフォワードな方が多い」と島田社長は話す。内外価格差は、世界共通で1.5?1.6倍程度。
「今はアジアを中心とした海外に注力している。『サカイ』はインディペンデントなブランドであり、少人数でビジネスを進めている。阿部(千登勢デザイナー)はビジネスもクリエイティブにと考えているので、常にすべてのことを阿部と一緒に進めている。一気にたくさんのことができない。だから『サカイ』のペースに合わせてくれる方と組んでいる。路面店のパートナーは、7〜8年前から取引があった店ばかり。自然ななりゆき。長い時間をかけて進めていたことが一気に形になった」。