エルメス財団は1月20日〜3月31日まで、銀座メゾンエルメス フォーラムでワルシャワを拠点にするアーティスト、モニカ・ソスノフスカの展覧会「ゲート」を開催する。ソスノフスカは1972年ポーランド生まれ。60年代にワルシャワで盛んだった前衛芸術に影響を受け、また、17歳の時に祖国の共産主義の崩壊を経験し、モダニズムに代表される過去の歴史とその現代における変容からインスパイアされた作品を発表している。
ソスノフスカは、社会主義のもとで権力の象徴を意味した当時の建築や、公共の施設などが壊されていく様を日常生活の中で、目の当たりにしてきた。かつてのユートピア的な意味を失って脱機能化し、崩壊と放棄の過程を辿りながら、新しい建築へと移りゆく姿を、その建築の壁、階段、ファサード、窓、廊下などのディテールを断片的に取り出し、造形をユニークな彫刻としての言語に置き換えている。
日本での初の個展となる本展覧会では、個人宅のゲートを題材にした新作を発表する。通りから住まいを隔てるゲートを個人にも都市にも属さない中立的な形で展示。主にスチールを用いた作品は、工業的なプロセスで生み出され、その後、曲げられ、ねじられ、歪んだ形のまま、機能を持たずに佇む。歴史や建築様式を超えて、自律的な彫刻へと開放された彼女の力強い表現は、常に緊張感を含んだ現代社会の現実に直結している。
モニカ・ソスノフスカ
1972年ポーランド生まれ。ワルシャワ在住。ボズナン美術大学、アムステルダムのライクスアカデミーで学ぶ。第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2007年)のポーランド館代表。主な個展に「Monika Sosnowska」(サーペンタイン・ギャラリー・ロンドン:2004年)、「Projects 83」(ニューヨーク近代美術館:2006年)、「1:1」(シャウラガー美術館、バーゼル:2008年)、「The Staircase」(ヘルツリーヤ現代美術館、イスラエル:2010年)、「Regional Modernities」(オーストラリア現代美術センター、メルボルン:2013年)など。
■「ゲート」モニカ・ソスノフスカ展
1月20日〜3月31日(会期中無休)
11:00〜20:00(日曜のみ11:00〜19:00。入場は閉館30分前まで)
銀座メゾンエルメス フォーラム
東京都中央区銀座5-4-1 8階