銀座テーラー(東京、鰐渕美恵子・社長)は、現役のテーラー職人からマンツーマンで技術や知識を学べる夜間学校「日本テーラー技術学院」の新年度の生徒を募集する。同学院は、これまでベテラン職人による"マンツーマン指導"で多くの優秀な技術者を育ててきた。三代続いたテーラーの家庭に生まれ、現在は2月13日に創刊したデジタルマガジン「フォルツァスタイル」編集長を務める干場義雅ファッションディレクターも、同学院の存在を賞賛している。「現場のベテラン職人の無駄のない動きは、やはり"すばらしい"という気持ちが湧いた。昨今のファッション業界は、ファストファッションを筆頭とした既製服が支持される一方で、オーダーメードが再評価されている。その際に最も重要となるのが職人だ。例えば、今回体験した"クセとり"(生地をアイロンであてることで、スーツを着用した際により体のラインを美しく見せる型をつくる行程)などは、まさに職人にしかできない技術。千差万別ともいえる体型などを正確に把握し、採寸、服作りを行うことで、オーダーメードならではの美しいスーツを作る腕を身に付けられるのは、職人の高い技術のたまもの」。本物志向の傾向から、同学院には現役のパタンナーや大学生など多数の生徒が集まり、最近では海外からの問い合わせもあるという。銀座テーラーの鰐渕社長は「重要なのは、最初に習う相手がプロの職人ということ。学院では針使いやアイロンワーク、型紙作成など、1年間でスーツを1着制作する。技術はもちろんだが、ベテラン職人の巧みな服作りを間近で見られることも大きい」と同学院で学べるメリットを話す。
また、銀座テーラーは創業80年を経た今も、伝統を継承しつつトレンドを抑えたデザインを発信し続けている。干場氏は「銀座テーラーは、老舗でありながらブランディングをきちんと考えている。私がコンセプターとなり昨年スタートした『クルーズライン』は、テーラー職人の技術が結集したスーツだけでなく、最先端のトレンドを抑えている。それこそが、同社が長年支持され続けている理由だと思う」。一方でテーラー界には課題もあると提言。「テーラー職人が活躍できる場所がもっと確保することも重要となる。世界で存在感を示すラグジュアリーブランドは"職人を育てる"という土壌があるが日本は少ない。将来的には、技術を持った職人が世界に飛び立つことが求められてくるはず」と求められる職人の将来像も語った。
銀座テーラーは1935年創業の老舗テーラー。優秀なテーラーに贈られる数々の賞を受賞し、歴代総理大臣のスーツを手掛けるなど、政財界にも顧客が多い。2月以降では、4月から始まる新年度に向けた学校説明会を下記の日程で実施する。
■日本テーラー技術学院 技術公開セミナー
開催日:2015年2月21日(土)、3月7日(土)、3月14日(土)
時間:13:00〜15:00
場所:東京都中央区銀座5-5-16 銀座テーラービルディング5階
会費:無料
定員:20名
TEL:03-3574-6891