ファッション

エイ・ネットに見る 変容するデザイナーズ企業の姿(下)

 では、「メレム」の出店計画はどうなっているのか。すでに、2013年3月には丸の内仲通り沿いに旗艦路面店をオープンするのが決定し、初年度は15店舗前後を出店する。駅ビル・ファッションビルを主販路とするが、商品構成によってはショッピングセンターへの進出も考えられる。

 

 実は、同社で販売している「ネ・ネット」もショッピングセンターに出店し、越谷レイクタウンといった店舗では売り上げを伸ばしている。エイ・ネットが強みを発揮していた従来型の展開では、販路のパイが広がらず、これでは今後の苦戦が予測される。先陣を切る形で「ネ・ネット」が販路を開拓し、いい意味で、デザイナーズブランドの既成概念を変えようとしている。「ネ・ネット」の高島一精デザイナーは「ショッピングセンターへの展開を、あまりよく思わないデザイナーがいるかもしれない。しかし、次世代のデザイナーズブランドとして進出する必要性を感じた」とする。

 

 「メレム」「ネ・ネット」ともに若年層が集まる商業施設に攻勢をかける計画だ。有力デザイナーズブランドを多く抱える同社も危機感を感じ、価格を抑えたブランドや新販路を開拓するなど、興味深い動きを見せている。今後は、他のデザイナーズ企業も追随すると考えられ、競合が激しくなるだろう。

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