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クリスチャン・ルブタン独占インタビュー�A: “履いた時に美しくなければ採用しない。自分のデザインよりも女性への敬意を尊重している”

■クリスチャン・ルブタン 独占インタビュー 

�@: "デザインフィロソフィー?特にないけど、常に熱心でハッピーでいることかな"

�B: "僕は古代エジプト文明のようだよ。変わらないことを好むから(笑)"

 

 

WWDジャパン(以下、WWD):なぜ女性が赤いソールの虜なのか、という質問には、数えきれないほど答えていると思うが、なぜ?


クリスチャン・ルブタン(以下、CL):特にレッドソールだけに限ったことではなく、デザイン全体に、私がいかに女性を尊敬し、愛しているかが伝わるからではないだろうか。私は、自分のデザインよりも女性への敬意を尊重する。たとえば、仮にすばらしいデザインであっても、実際に女性が履いた時に美しく見えなければ採用しない。もし女性を自分のデザインの味方にしたいなら、クリエイターとしての自己中心的な考えをやめ、自分の仕事を女性に捧げること。それができれば、違いが見えてくるはず。


WWD:デザインの過程は?コレクションのインスピレーションやアイデアはどこから?


CL:パリ以外の場所に行き、1人きりになるところから。春夏コレクションだったら暑いところに行ったり、秋冬コレクションだったら寒い所に行ったり。共通しているのは、自分を隔離すること。そして、納得するデザインを思いついたら、スケッチするのではなく、自分の記憶の中に細部まで磨き上げられたデザインを刻むこと。その時点ではそれ以上のこと、たとえば、色やディテールを決めるといったことはしない。その後、自分の頭の中に残像のように残っているイメージからデザインを発展させる。そして、デザイン画を描く。デザイン画を描くのは本当に楽しい作業だ。「描く」ことで新しいアイデアが浮かぶこともある。


WWD:シンプルなパンプスで、何工程あるのか?


CL:作業の工程(プロセス)というよりも、ステージ(段階)といった方が正解かも。最低でも100段階の作業がある。時々、「何でパンプスがそんなに高いのか」と聞かれることがある。なぜシンプルなパンプスが700ユーロ(約7万700円)もするのか、149ユーロ(約1万5000円)のパンプスとどこが違うのか、理解できない人がたくさんいる。

 

たとえば、ワインが2本あったとする。同じ形で同じ750ml の容量。一つは20ドルでもう一つは1000ドル。同じ液体でほぼ同じ色でも、ワインに関しては、価格が違うことに皆納得するでしょ?ワインの価格がピンキリだと知っているから。靴も同じ。多くの要素には気付かないかもしれないが、女性がその靴を履いた時に違いがわかるし、気分も変わる。それが私の靴なんだ。

 

日本の女性は、他の国に比べると、よりそれを敏感に感じ取れるようだね。細部まで目が届くし、細かなディテールまで独自のこだわりがあるから。確かにこうした微妙な差異を理解してもらうには時間もかかるけど、それが他の靴との決定的な違いを生み出すんだ。一足の完璧な靴を創造するには多くの時間とプロセスが必要。時代の気分を反映したフォルムや色、ディテールに至るまで、丹念に時間をかけてデザインを探求していく。安価な靴にはこうしたプロセスは存在しない。内側のライニングに使う素材や質感まで、履き心地を考えて徹底的にこだわるのが私の流儀だから。


WWD:靴は時々彫刻と比べられるが、靴には快適さが求められる。どのように気をつけているのか?


CL:もともと私はショーガールたちのために靴をデザインしてきた。彼女たちにとって、靴は見栄えはもちろんのこと、履いていることを忘れられるぐらい履き心地が良くなければならない。彼女たちはパフォーマンスに集中しなければならず、靴のことを気にしていられないでしょ?私は時々、自分が医者だと感じることがある。女性の、美しく見られたいけれど苦しみたくない、という要望にどう応えるかは、また別の話だけど……。

 

大事なことは、人々が私の靴を見た時に、良い靴だと言ってくれること。多くの人は、履き心地が悪そうと言うでしょうが、それは私の問題ではない。女性が素敵な靴だと言ってくれれば十分だ。快適さはその後。とはいえ、快適さは重要な要素。以前に「履き心地の良さは気にしない」と間違った誤解をされたことがある。はっきりと明確に「履き心地の良くない靴は大嫌いだ」と言ったのにもかかわらず……。

■クリスチャン・ルブタン 独占インタビュー 
�@: "デザインフィロソフィー?特にないけど、常に熱心でハッピーでいることかな" 

�B: "僕は古代エジプト文明のようだよ。変わらないことを好むから(笑)"

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