パルは8月20日、ロールプレイング接客大会「パルシップ」を開催した。「スマイルイズ パワー」をコンセプトに掲げる同大会は、販売員が顧客に支持され続ける販売スキルを身に付けることが目的。販売に対するモチベーションを高め、販売員の地位向上も目指している。今年はセレクトショップの「ガリャルダガランテ」やバッグの「ラシット」、生活雑貨の「スリーコインズ」など、グループ約40ブランド、5000人の中から勝ち抜いた12人が決勝に出場。プロフェッショナルな接客を披露した。
見事、最高位のプラチナ賞に輝いたのは、「コラージュ ガリャルダガランテ」アトレ上野店の竹中真帆さん。「壇上で緊張はしなかったが、あまり練習できなかったのが不安だった。その分、本番ではいつも通りの接客ができたと思う。売り場が一番好きなので、これからも現場で、他のスタッフに自分の背中を見せられるような仕事をしていきたい」と語った。賞金として10万円と海外研修旅行などが与えられた。
同社は販売員教育に長年力を入れてきたが、ロープレ大会が10回目を迎えたのを機に、昨年から出場条件や競技内容、審査方法などを一新。"ロープレ大会入賞のための接客演技"にならないため、より実践に近い接客にこだわった大会に変化した。
従来、各企業のロープレ大会に出場する候補者は、店舗や事業部の推薦、もしくは自薦で決定することが多かった。しかし「パルシップ」で出場資格が与えられるのは、個人予算設定のあるブランドなら個人売り上げや予算達成率、獲得客数、客単価がブランド内上位者、「スリーコインズ」や「サリュ」などセルフ型接客業態でも、誰もが認める売り上げにつながる行動が取れているスタッフに限られている。店舗で数字を作っている実績や実力のある販売員の接客は、他のスタッフから見ても説得力があり、技を盗む重要な場にもなっている。
また、業態によってコンサル型接客やセルフ型接客など、求められるスキルも異なる。実際のショップでは、入店と同時に目当てのアイテムや職業などを突然聞かれても、明確に答える顧客は少ない。そのため同大会では、接客演技スタートの合図とともに3〜5人の顧客役の役者が一勢に入店。約15秒間の観察時間が与えられ、誰に話し掛けるかも自身で選ぶことができる。演技後半、セルフ型接客の業態では、顧客役が会計を済ませようとすると、複数の顧客役が一斉に登場し、レジに長い列を作るなどのユニークな演出も。実際の店舗の状況に極力近付けた設定が組まれている。
さらに、演技時間内に商品提案から会計までを披露する必要もない。買い上げまでをゴールとするのではなく、あくまで内容を評価することで、機械的な接客やおおげさな演技にならないようにしている。一時期は各社がこぞって開催していたが、注目が下がっているロープレ接客大会。同社のようにその意義を改めて突き詰め、実績を残したスタッフをきちんと評価する仕組みは、販売員はもちろん企業スタッフ全体のモチベーションアップにつながっている。